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「首斬り人の娘」

オリヴァー・ペチュ「首斬り人の娘」ハヤカワ・ポケット・ミステリ

珍しいドイツの歴史もの。
とても気に入りました。

1659年、ドイツ南部バイエルンの小さな町ショーンガウ。
子供が殺され、遺体にあった奇妙なマークのため、魔女の仕業かと疑われます。
産婆のマルタが投獄され、町の為政者たちは、問題をてっとり早く片付けようとするのです。
事件が長引けば、遠くの本拠地にいる領主らが大挙して訪れ、その滞在費を町の有力者達が負担することになるからでした。

町の首斬り人クィズルは拷問を担当する係ですが、マルタの無実を信じ、手立てを工夫しようとします。
クィズルの娘マクダレーナに惹かれている新米の医者ジーモンは、クィズルを尊敬していて、犯人探しに協力することになります。
首斬り人は、まともな職業とは思われず、人は避けて通る存在で、家も町外れの城壁の下にありました。
マクダレーナは美貌で生き生きした娘だが、その美しささえ悪魔と取引したと噂される始末。ジーモンとは身分違いで、悪くすれば彼女が晒し台にかけられる危険さえありました。
実際にはクィズルは安く医療を施すのが日常の仕事で、町でも指折りの知識人だったのですが。

最後の宗教戦争といわれた三十年戦争でドイツ全土が荒廃し、それから10年たっても町にはまだ傷跡が残っていました。
そして、70年前には、ショーンガウでは魔女狩りの嵐が吹き荒れました。
戦争に行った経験のあるクィズルは、決して魔女狩りを繰り返してはいけないと動くのです。

大柄で冷静で知識豊富で勇気もあるクィズルがなんといってもカッコイイ。
当時の独特な政治体制や、人々の偏見、遅れている医療などの重い状況と、若い世代の住民のおしゃれな格好や、走り回る子供達の活躍など、いきいきと描かれています。
荒々しい雰囲気もありつつ、危機を乗り越える冒険が上手くできていて、わくわくするような展開に。

作者の祖母がクィズル家の出で、祖母の従兄弟が膨大な資料を集めていたそう。
クィズルとマクダレーナは実在。この物語のような詳しいことがわかっているわけではないのでしょうが。
愛のこもった綿密な描写と構成で重厚さを出しつつ、楽しめる読み物になっています。
4部作だそうなので、続きが楽しみ!

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