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「真夜中のパン屋さん」

大沼紀子「真夜中のパン屋さん」ポプラ文庫

今、BSでタッキー主演でドラマ化されています。
「西洋骨董洋菓子店」をちょっと思い出しました~あの頃は、生意気な若い子をやっていたのよね。いつの間にやら、12年もたってました!

真夜中が開店時間というちょっと変わったパン屋さん。
首都高と国道246が重なり合う町の~駅からはちょっと離れたあたり。
男二人でやっているその店に、高校生の女の子が転がり込んだ。

篠崎望実は、なかなか家にいつかない母親にネグレクトされて育っていました。
ある日、家に帰ると母親の荷物がなく、手紙には異母姉の暮林美和子の元へ行けとあったのです。
パン屋「ブランジェリークレバヤシ」のオーナーは、美和子の夫ですが、美和子は事故で急死した後だった‥

当然のように~望実を受け入れる暮林。
白いコックスーツを着た30代後半の、眼鏡をかけたいかにも人がよさそうな男。パン作りも習っているのですが、主にレジを担当。半年前までは海外勤務のサラリーマンだったのです。
パンを作っているのは若くてハンサムな柳弘基で、黒いコックスーツが似合う。こちらは口が悪い。
望実は、弘基とはすぐ口喧嘩になるのでしたが。
学校でいじめに遭っている望実ですが、気丈に対処していました。

ある日、パンを万引きしようとした男の子こだまを見つけ、その子の家を訪ねると、後で母親が殴った様子。
しかも、何日も母親が家を空けることを知り、何かと世話をすることに。
こだまは、健気にも、大好きな母親・織絵ちゃんの帰りを待つために家にいると言い張るのですが‥

何かと店を手伝うようになった望実。
パンの宅配も受け持つことになったのですが、配達に行った先でまた思いがけない出来事が。

それぞれにかなり強烈な過去を抱えた登場人物たち。
急いで読むと、虐待を含む不幸の連鎖に押しまくられそうになりますが。
しっかり踏みとどまろうとする意思や、若々しい勢い、何気ない人のあたたかさに救われます。

おだやかな暮林の生き方。やりがいのある国際組織での仕事に熱中していたのですが、突然妻を失って、途方にくれたこの半年。
美和子は弘基の憧れの女性でしたが、実は暮林と出会った若い頃にはきつい性格だったとは。
「心を半分あげる」と美和子に言われたその意味とは‥
救いがなさそうなほどの過去に縛られた思いが、いつの間にかふっとほどけるその瞬間に立ち会えて、じわりと泣かされます。

著者は1975年、岐阜県生まれ。
脚本家として活躍するかたわら、2005年坊ちゃん文学賞大賞を受賞して小説家デビュー。
この作品は2011年6月発行。

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