フォト

おすすめ本

« 「想いあふれて」 | トップページ | 白黒で決めるベーシックスさん »

「鍵のない夢を見る」

辻村深月「鍵のない夢を見る」文藝春秋

5編入った短編集。
三面記事にあるような事件に巻き込まれていく人々。
女性の一人称で、未熟だったり身勝手だったりする所も見えつつ。
普通の人間が、思わぬ成り行きで、魔が差す瞬間を描きます。

直木賞受賞作。
そのことを忘れて読んでいて、途中で直木賞っぽいなとふと思いました。
多くの人に読ませたいような、わかりやすく時代性があり、文章もしっかりしていて地道な作品というか。
その作家の個性が強烈に出ている作品は、票が割れるのか、選ばれにくいんですよね。

「仁志野町の泥棒」
小学生の時に転校してきた女の子。クラスの人気者が特定の友達として仲良くなるのですが。
その母親には盗癖があった…

「石蕗南地区の放火」
実家の向いにある消防団の詰め所が火事になります。
災害保険の仕事で出向いた女性は、知り合いが放火したのではと疑う…

「芹葉大学の夢と殺人」
夢を抱いていた大学生に、その夢をわかってくれて、見た目もよく自分の夢も語る彼氏が出来ました。
ところが彼の方は成長しないまま…卒業後は別れることになったのです。
(文章で読めば、そりゃあやめとけ!っていう感じなんだけどねえ)
冷静さがなくなるとき。
教授殺害を知って、彼が犯人ではないかと疑うことに。

「君本家の誘拐」
買い物の途中で振り返ったら、ベビーカーがない!
ほんの一瞬だったのに…寝不足で追いつめられていく母親の心理。誰にでも起こりそうで、痛いです。
結末には、救いが。

それぞれの性格、自業自得かも知れないが運が良いとはいえない事の成り行きと、細やかな心の動きがなんともリアル。
あまり感じ良くはないけれど。毒があるというほどでもないかな…
安定した筆致で、鋭くしっかり描かれてはいますよね。
大人になったな~っていうか。

« 「想いあふれて」 | トップページ | 白黒で決めるベーシックスさん »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/145558/56919435

この記事へのトラックバック一覧です: 「鍵のない夢を見る」:

« 「想いあふれて」 | トップページ | 白黒で決めるベーシックスさん »

2018年7月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック