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「夜の真義を」

マイクル・コックス「夜の真義を」文藝春秋

数奇な運命をたどる男の復讐を描いた歴史小説。

19世紀半ばのイングランド。
図書館で発見された告白の書という体裁で、書かれています。
建物や町の様子が臨場感に溢れていて、魅力的です。
ディケンズの「デイヴィッド・コッパーフィールド」が発表されている時期。
おそらく当時の文体まで再現し、雰囲気たっぷり。

エドワード・グライヴァーは、小説家として忙しく執筆する母親に、豊かではないが愛情深く育てられました。
12歳の時に紋章入りの木箱を渡され、中に入っている大金に驚きます。
エドワードを可愛がっていた母の旧友が遺したもので、しかも、イートン校に入る手続きが済んでいるというのです。
フィーバス・ドーントという学生が友達の一人になるのですが、彼に陥れられて、エドワードは放校になってしまう。

将来を断たれたエドワードは、名をグラプソンと変えて、法律事務所のために裏仕事を引き受けるようになりました。
資格はないけれど教養豊かで、知識人の友人も出来ます。
美しいベラとは、ベラが高級娼婦になる前からの知り合いで、商売抜きの仲の愛人。

一方、ドーントは、詩人としても名を成し、タンザー男爵デュポートのお気に入りとなっていいました。
エドワードは、次第に自らの出生の秘密を探り出します。
タンザー男爵こそが、実の父親らしいのです。
領地を訪ねたエドワードは美しい土地に魅了され、しかも幼いときに来た覚えがあることに気づきます。
だが、証明しようとするのは難しい。
そこに、ドーントの犯罪が絡んでいることに気づき…

1854年、エドワードは見も知らぬ男を殺したという衝撃の出だし。
なぜそこまでのことになったかは、終盤に至るまではっきりしません。
途中だと、そこまでしなくてもという思いに駆られます。
他の登場人物に感じる疑問も、最後まで読むと、それなりに筋が通り、因果応報が実感されます。

重厚な手応えを堪能出来る小説。
重すぎて、一度には読み切れず、他の軽い作品を挟みながら、少しずつ読んでいきました。
でもどうしても、続きが知りたいのよね~。
そういう興味は引っ張ってくれます。

2006年の作品。
著者は1948年、イギリス生まれ。
1971年、ケンブリッジ大学を卒業、音楽業界に。1989年よりオックスフォード出版局で編集者となる。
この作品は30年も構想をあたためていたが、ガンによる失明の危機から2004年に執筆開始。作品は、英国史上屈指の高額で落札されたそう。落札という制度があるんですねえ?
2008年には続編を発表。その後、惜しくもな亡くなったそう。

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