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「特捜部Q ―キジ殺し――」

ユッシ・エーズラ・オールスン「特捜部Q ―キジ殺し――」

特捜部Qシリーズ2作目。
デンマークの警察ミステリです。

未解決の事件を扱う特捜部Q。
所属するのは、カール・マーク警部補と助手のアサドの二人だけ。
中東系のアサドは実は有能ですが、警官ですらないので、時々とっぴな発想をします。
特捜部は、協調性に欠けるカールがある事件の後に、ていよく左遷された部署でしたが、前作で手柄を上げました。

今回からローセという若い女性が加わります。
警察学校では優秀な成績だったのに運転免許が取れず、秘書として警察に入ったという変わり種。
新人なのに態度は横柄で、カールを悩ませますが、これもそれなりに有能とわかってきます。

さて、今回の事件は20年前のもの。十代の兄妹が殴り殺され、既に犯人は自首して服役中。
調べていくと、単独ではなく、寄宿学校にいた数人のグループが似たような暴力事件を重ねていた疑いが浮かび上がります。
もともと立派な家柄の子ばかりで、父親と教師を憎んでいたらしい。

今は親の跡を継いだ身で、狩りをするために集まったりとセレブで退廃的な暮らしぶり。
社会的には成功して権力と繋がっているため、たちまち特捜部には捜査妨害の圧力がかかってきます。
ところがカールは反抗的な性格で、止められるとどうしてもやり遂げたくなるという。

寄宿舎の仲間で紅一点のキミーだけが行方知れず、実はホームレスになっていました。
キミーの存在感が、強烈。
隠れ処を持ち、40歳ほどになっても個性と美しさは残っているのですが。
父親と義母に冷たくされ、寄宿学校で悪い同級生に出会い、悲惨な連鎖が起きた…
今はかっての仲間を憎んでいるキミー。
真相を追う特捜部と、復讐を恐れてキミーを探す男達。
哀しみを秘めたキミーを思わず応援したくなるのですが…

暗い部分も力強くスリリングに、テンポ良く描き上げています。
カールの同僚で入院したきりのハーディとのやりとりに、現実の重みも。
ハーディが撃たれた事件では、カールも心の傷を負っています。
美人カウンセラーにもまともに話をしようとしないカールでしたが、ほんの少し進展するかも?
特捜部の大忙しぶりは、コメディ的。何をやらかすかわからない3人組、どこへ行く?
次作も楽しみです。

著者は1950年、コペンハーゲン生まれ。
北欧、ドイツで絶大な人気を誇る作家です。
これは2008年の作品。次の作品で「ガラスの鍵」賞を受賞。

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