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「その日まで」

吉永南央「その日まで 紅雲町珈琲屋こよみ」文春文庫

お草さんのシリーズ2冊目。
連作短編で、次第に事件が絡み合っていきます。

北関東の紅雲町。
「小蔵屋」というコーヒーと和雑貨の店を出して10年になる杉浦草は、76歳で独身。若い頃に離婚し、地道に働き続けてきました。
若いが頼りになる店員の久実と一緒に、コーヒーの試飲もさせる店をやっています。
近くに安い雑貨店「つづら」が出来て、しかも露骨な営業妨害をしてくるようになりました。

アパートの前で捨てられた人形を見つけたお草さん。
その持ち主らしい子どもの荒れた様子に驚きます。
かって幼い我が子を失っているお草さんは、困っている子どもを放ってはおけない。
けれど、これは虐待というのではなく…
叔父の田村は30歳ぐらいの誠実そうな男で、理由を説明するのでした。
久実は田村に好意を抱いたようで、店にもよく来るようになった子タケルを皆で可愛がりますが‥?

福祉作業所のたんぽぽで作っているキャンドルを売ってくれないかと頼まれますが、特徴のない品なのに高すぎると筋を通す。
「つづら」では福祉に協力するために販売していると評判になり、しかも小蔵屋では断ったと広められる。
ところが「つづら」では、おまけとして配っていました。
別な販売方法を工夫する草。

展覧会に出かけたお草さんは、久しぶりの知人に出会う。
彫刻家の須之内ナオミは、まだ草が40歳の頃、呉服店の手伝いに通っていた頃の知り合いで、当時は高校生でした。
ナオミがアメリカに行く前にあった出来事について意見を聞かれ、当時の知り合いに電話してみた所…?

カレー屋を経営する香菜という女性と知り合い、不動産取り引きの問題を聞きます。
呉服のマルフジが高利貸しにも手を広げ、不動産屋と組んであくどい手を使った疑いが。
マルフジの社長とは、かって縁談が起きた間柄だった。
この件には、田村にも意外な関わりが‥?!

表紙イラストのほのぼのしたイメージを期待しすぎると違うかも。
日常の謎系ではありますが。
和装で髪を髷にまとめているので、おばあさんという感じだけど、そうでなければまだ、おばさんでというか初老で通るかも?
現役の働く女性で、健康だと、いまどき。
とはいえ、長く生きているとこんな経験もする、という印象はありますね。

40年も前なのにと自分でも思いつつ、幼い息子を失ったことを悲しむ草。
普段は淡々と暮らしていても、時にはその思いがあふれ出すように。
40年前に終わったことではなく、40年も続いた悲しみなのでしょう。
力のこもった書きぶりです。

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