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「ふくわらい」

西加奈子「ふくわらい」朝日新聞出版

とても良かった!
力強くて、ユニーク。
特異なシーンがあるので、小さい子どもにはススメないけど。
最高傑作なんじゃないかなあ…

鳴木戸定は、紀行作家の父親に、マルキ・ド・サドをもじって名付けられました。
定はほとんど感情を表さない子どもでしたが、母の買ってくれた福笑いに新鮮な感動を覚え、夢中になります。
母にもばあやの悦子にも可愛がられましたが、母は5歳の時に亡くなってしまう。
父は旅行先に定を連れて歩き、葬送で死者を口に含む部族の習わしに参加。そのことを本にしたため、定は学校で気味悪がられることになってしまいました。

編集者になった定は、25歳。誰にでも丁寧な話し方をしますが、人となれ合うことを知らない、変わった女性になっていました。
今でも福笑いのことを考え、目の前の人の顔のパーツを動かしてみる癖が抜けない。
作家との打ち合わせの様子など、ありそうなシーンにもどことなく面白みが漂い、読み飛ばせない濃厚さです。
悪役プロレスラーの守口廃尊の連載を本にする相談をする間も、顔を見つめ続ける定。
この男の歪んだ顔は、定にとっては興味がつきないものだったのです。

水森康人という高名な作家には、ヨシという献身的な妻がいました。
後に、思わぬ事件が起きますが、その対応をやり遂げた定は、編集部で認められるようになります。

新宿駅で白い杖を振り回している男に出会い、声をかけます。
武智次郎といって、見るからにイタリア人の顔だが、ハーフで日本育ち。
一目惚れしたと言って何かと連絡をしてくるようになり、定は戸惑いますが。

同僚の小暮しずくは、美人過ぎる編集者としてテレビに出たこともあるほど。
定より一つ下で、最初は互いになじめなかったのですが、ふとしたきっかけで親しくなり、定の初めての友達となります。
次郎のことも相談するようになりました。

もともとユニークな女の子が異常ともいえる経験を経て、どこか固まったままだった。
小さな事がきっかけとなって動きだし、いつの間にか世界がすっかり変わっていく‥
ぴかぴかの魂と、何を隠すこともないぴかぴかの身体に光を浴びて。
心があたたまり、勇気が出ます。
2012年8月発行。

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