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「スターバト・マーテル」

ティツィアーノ・スカルパ「スターバト・マーテル」河出書房新社

題名は、ヴィヴァルディの有名な曲の名。
マーテルとは聖母のことで、13世紀に書かれた「聖母の悲しみの祈り」という同じ詩に、多くの作曲家が曲を付けているそう。

18世紀ヴェネツィア。
アントニオ・ヴィヴァルディがいた頃を舞台に、ピエタ養育院で育った少女が主人公。
尼僧院付属で病院もある養育院でした。
壁のくぼみに、育てることが出来ない赤ちゃんを置いていけるというシステムがあり、何百人もの孤児が育てられていたのです。
音楽教育が盛んで、向いている者は高度な教育を受け、教会で演奏したり歌ったりして過ごしていまいた。

チェチリアという少女が、眠れぬ夜に、自分を捨てた母へのせつない手紙をめんめんと書き続けるという形で、暗い文学的独白で進むため…
途中、ちょっと読むのを棚上げしてました。

「私たちは神様の子ども」という尼僧の説明を真に受け、神様が直接作ったのだと思っていた幼い頃。
聖母マリアはキリストの母だと知った後も、それでもキリストだけなのかと思っていたチェチリア。
深夜のトイレで出産する女性の後ろ姿を目撃、後にその意味を知る。どういう事情あってか妊娠を隠し続けたのだろう。自分もそんな風に生まれてきたのだろうかと思いめぐらす…

才能豊かなだけに神経過敏な少女。
赤毛の司祭とあだ名されるアントニオ・ヴィヴァルディが赴任してきて、ヴァイオリン指導と作曲を担当して、名声を博することになります。
その独創的な指導と楽曲に、目を開かされるチェチリア。
だが幼さの残る世間知らずな娘達を相手にして、強引さも感じる…
躾の行き届いた従順な娘として、いずれは誰かの結婚相手に望まれ、音楽を捨てて去っていく娘達。
ヴィヴァルディは、チェチリアが残るように望むのですが。
チェチリアの選んだ道は?

後半はぐいぐい意外な展開で、鮮烈な印象でした。
ヴィヴァルディは、ほんとにこんな指導をしたんでしょうか?
明るくはないけど、なかなか面白かったです。
この時期を舞台にした作品は(研究書も含めて)多いのだそうで、魅力のある設定ですよね。
作者は影響を受けないように、出来るだけ創作は読まなかったとか。

「青空のむこう」「夏天の虹」という順番で読んだため、いやどっちもすごくいい話ではあるのですが~「青空のむこう」は男の子が死んだ後の話で、「夏天の虹」は大好きなシリーズで江戸時代の料理屋の話ですが、辛い別れが出てくるので…
この導入部は暗くて、すぐにはちょっと無理で。
気持ちがほぐれるように、間に何冊も入れてから、読みました。
読み出せば一気でした。
とくにヴィヴァルディが登場してからは、文章にも展開にも独特な勢いがあるのです。

作者はかなりユニークな人のようです。
日本に興味があるのか?取り上げた題材には日本の漫画もとんでもない役割だけど登場していたり。
この作品はまだ大人しい方のよう?

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