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「株式会社ネバーラ北関東支社」

瀧羽麻子「株式会社ネバーラ北関東支社」幻冬舎

恋も仕事も失った女性が、地方の町で少しずつ新たな生き方を見いだしていく。
あっさり読めて、のんびりしたぺースがいい感じです。

弥生は、1時間に1本しかないバスに揺られて、会社に通う。いつも同じ席、同じ顔ぶれ。
一ヶ月前までは、外資系の証券会社に勤めて7年、部下もいるエリートといってもいいキャリアウーマンだったのですが。
恋人に他の女性が出来て、「君ならすぐにずっと良い条件の相手が見つかる」と言われて去られてしまいます。
真剣に愛しているつもりだったのに、条件で選ぶ打算的な女だと言われたようなもので、それを否定しきることも出来ない。

会社を辞めて、全く別な土地で働くことを選び、健康食品の下請けメーカーに入ります。大手メーカーにいろいろな半完成品を納入するのですが、主力商品は納豆でした。
社員食堂のすべてのメニューに、納豆が付いてくるという。

経営企画部は、ほとんど何でも屋のようなもの。メンバーは5人。
正社員は杉本課長と弥生、それに童顔の沢森くん。
パートの西川さんと事務員のマユミちゃん。
誕生日を幹事持ち回りで祝うというアットホームな職場でした。
弥生は、まだあまり仕事に集中することも出来ない状態で、3割程度の力で仕事をしていましたが、ぬるい生活も悪くないと思うのです。
孤独がちで携帯も持たないほどでしたが、だんだん町にも慣れていきます。
「なにわ」という居酒屋の女主人・桃子には「あんたか、東京から来たっちゅうおねえちゃんは」とすぐ店に引っ張り込まれます。

東京本社から、佐久間という男性が赴任して来ます。
8月までの研修だという。
あたたかい仲間に囲まれて、次第に仕事に本腰を入れるようになった弥生ですが。
佐久間に東京本社へ誘われ、皆が弥生を見送ろうとします。
弥生の決断は?

外資系の証券会社で部下を使う女性の実感はわからないけど。
人生が何かで大きく変わる、ということはありますよね。
苦しみは否定出来なくとも、冷静さも健康さも完全に失ったわけではない。
弥生さんの淡々として様子も含めて、ごく普通な人の暮らしの地道な確かさに触れられるのが、心地良い。

著者は1981年兵庫県生まれ。
2004年、京都大学卒業。2006年、小学館「きらら」携帯メール小説大賞グランプリ06受賞。
この作品は2008年2月発行。

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