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「マルベリーボーイズ」

ドナ・ジー・ナポリ「マルベリーボーイズ」偕成社

イタリア人の男の子が、たった一人、ニューヨークで生きていく。
ドナ・ジョー・ナポリが、自らの祖父をモデルに描いた小説。

イタリアのナポリに住むユダヤ人の少年・ベニアミーノは、9歳。
ある日、母が新しい靴を買ってくれました。
港に連れて行かれ、理由もわからずに貨物船に密航して、たった一人でアメリカに渡ることに。
母は「生きのびること、それがお前の仕事よ」と‥
職に困っていた母は思い詰めて、アメリカでの未来に賭けたのです。

船の中でドムと名を変え、子どもの出来る仕事をして、精いっぱい役に立つようになる。
そのまま密航して、ナポリに帰るつもりだったのです。
そうはいかずに、一人で港近くをさまよい、樽の中で寝ることに。
1892年のマンハッタンは、アメリカに渡ってきた移民で溢れていました。
イタリア人の集まっているマルベリー・ストリートへ行くが、そこでもユダヤ人とは名乗れない。

ドムは、ちょっとだけ年上の二人の少年と知り合います。
道端で口笛を吹いている痩せこけた男の子ティン・パン・アレイは、道行く人にカップに硬貨を入れて貰っていました。
もう一人知り合ったガエターノは、ティン・パン・アレイを物乞いといい、悪どいパドローネに使われているという。
パドローネとは、貧しい子ども達に物乞いをさせている元締めでした。
ドムは、どちらも友達だと思うのですが。

目端の利くガエターノに色々なことを教わりつつ、ドムは自分でも次第に世の中のことを知っていきます。
祖母に教わったことを思い出して、青物屋のグランディネッティの店を手伝ってみせる。
場所によって値段が違うことに気づいて、サンドイッチを安く買ってウォール街で高く売ることを思いつき、ガエターノと商売を始めるのです。
失敗も重ねつつ、だんだんと街に溶け込んで、大きくなっていく。

はらはらの冒険物語として読めます。
こんな子どもがと思うと胸が痛みますが、生きていくコツを心得ていくたくましさには脱帽。
明るい未来だけの話ではないけれど、仲間や世話をしてくれる人もちゃんと出来ていくんです。

ファンタジックで味わい深い童話の再話に才能を発揮してきた著者ならではの語り口。
これは母たちから聞いた祖父の話をもとに、当時の資料を調べて書き上げた物語です。
直接、祖父に詳しい話を聞くことはなかったので、後悔したそう。
母方の祖父は、グランディネッティというペンキ塗り職人で、青果商のモデルに。

ジョー・ナポリというのは変わった名前で、どこから来たのだろうと思っていました。
父の出生証明にある祖父の名は、ドメニコ・ナポリーロ。
祖父はダン・J・ナポリと名乗っていたが、このJが何なのか本当ははっきりしないそう。祖父についての書類は他に何もないのだそうです。
2005年の作品。

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