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「卵の緒」

瀬尾まいこ「卵の緒」新潮文庫

瀬尾まいこのデビュー作。2本収録。

「卵の緒」
マイペースな母・君子と二人暮らし。
自分は捨て子じゃないかと疑っている育生。
へその緒というものがあると学校で教わり、これなら確かめられると母さんに聞いたところ、なんと?箱に入った卵の殻を出してきました。
卵で生んだのだという~信じられないけれど、その場は言いくるめられてしまう。

同じ会社の朝ちゃんのことをすごくハンサムだとよく口にする母は、ある日、夕食のハンバーグがとても良くできたからと、急に彼を呼びます。
やって来た朝ちゃんは、すっきりした外見で、とても食べ方がきれいでした。

同じクラスの池内君が登校しなくなり、気にかけていた育生。
学級委員で、とくに理由も見あたらないのに。
母さんに、家に行ってみたらと言われ…

日常にありそうな出来事に、ちょっと不思議なアクセントが添えられていて、軽やかなのに、見入ってしまう感じ。
君子さんのユニークさと、真っ直ぐに向けられる愛情が心地良い。
人の繋がりは色々なんだと…でも、好きだということが大切。
好感の持てる人ばかりなので、その場に幸福感が漂います。

2作目のほうが、重い感触があります。
1作目は、絵空事になりかねないようなハッピー感があるのですが。
こちらは、現実的な暗さや怠さも含みつつ、芯が強い登場人物に励まされる心地。

高校3年の七子は、突然11歳の異母弟・七生と暮らすことになりました。
父はとうに亡くなっているけど、愛人と子どもがいることは知っていたのです。その愛人が傷害事件を起こしたため、母が七生を引き取ってきたのでした。
ところが、その母がすぐに入院してしまい、二人で生活する日々。
名前も顔も似ていますが、妙に出来すぎで気を遣う小学生に、苛立ってしまいます。

二人だけの日々で起きる行き違いや反発。
同じものを食べ、アイスクリームを作ったり。
喧嘩した後になって、用意されたバースデーケーキを発見したり。
夜に、お揃いのパジャマで外を歩いた日。
別れの時が切ない。
もう会うイメージが湧かないので、おそらく会わないのだろうと‥

そうとも限らないんじゃないかとは思うものの、そうかも知れないと哀しくなりました。
引きこまれましたね。

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