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「望月のあと」

森谷明子「望月のあと (覚書源氏物語『若菜』)」東京創元社

源氏物語の作者・紫式部が、侍女の阿手木(あてき)と共に、謎解きに挑みます。

2003年のデビュー作「千年の黙」に続く「白の祝宴」に続くシリーズ3作目。
デビュー作から2作目までは10年も開いているんですが、これは続けて出ました。
その理由は後書きに。

寛弘8年(1011年)5月。
紫式部こと香子が、中宮の彰子に仕えつつ、「若菜」を書こうとしている時期。
少女の頃から香子に仕えている阿手木は、宮廷に出仕している御主の留守を守って、香子の生家の堤邸に暮らしています。
今では人妻ですが、通い婚が普通な時代なので、夫は仕事先から夜になるとやってくる生活。
夫の義清は武士なので、郎党を連れてくるため、治安の悪い時代に、安心で助かっていました。平安の都は、盗賊や付け火が横行していたのです。
彰子の父で左大臣の道長は、そんな世情を憂うこともなく、「この世をばわが世とぞ思う望月の…」と我が身の栄華を誇っていました。

源氏物語は人気を呼び、愛好者の間で年表が作られるほど。
矛盾を指摘されるのでは?と、冷や汗をかくことに。
あまり書かれていない数年の間のことをもっと知りたいという要望も出されます。
物語の中では、これから光源氏が栄華を極め、その後に問題も出てくるあたり。
書きあぐねている部分をじっくり書き上げるために、気楽な部分を作ってみたらと進言する阿手木でした。

折しも、道長の使いを和泉式部に依頼され、東三条院へ赴くことに。
道長が、誰か由緒のある女性をそこに隠している、という噂が立っていました。
実は、いわくがあって宮廷を離れた異母妹の、忘れ形見である瑠璃という姫。
この時代、異母妹の娘となら結婚も可能で、道長も少々胸を弾ませているのですが、性急にそう求めるほど若くはない。
香子はひそかに、彼女のことを調べ、「若菜」の前に「玉鬘」の章を書くことにする…

「若菜」の章だけが、上下二部に別れている理由に思い馳せながら、書かれたのでしょう。
玉鬘のモデルになった女性と近づきになり、幸せな人生を送れるように密かに手助けまでする女達のひそかな連携ぶりに、にっこり。
喝采を送りたくなります。
2011年12月発行。

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