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「虎と月」

柳広司「虎と月」理論社

中島敦の名作「山月記」にインスパイアされた作品というか。
何度も読んでいるうちに~いつしか出来上がっていた物語だそうです。

唐の時代。
隴西の李徴は、博学で秀才の誉れ高かったのです。
わずか20歳で、難関の科挙に合格しました。
けれども傲慢で狷介な性格で、役人では満足出来ずに、詩人をめざします。ところが挫折してしまう。
家族を養うためにやむをえず、格下の小役人となりました。
だが、屈辱に耐えきれず発狂、飛び出したまま、行方不明に。

後に、かっての同僚・袁參(えんさん)が妻子を訪ねてきて、嶺安の地で、虎になっていた父親の李徴に出会ったという。
家族の面倒を見るように頼まれたと、それ以降、お金を送ってくれるようになりました。
十分すぎるほどの金額を。
 
14歳になった息子は、身体が大きく、父親に似てきたと言われます。
袁參に、どういう事だったのか詳しく話を聞こうと、長安の都へ向かうのでした。
父親が虎になったというのは、本当なのか?
もしかしたら、自分もいつかそうなってしまうのか…?
ところが、袁參は地方へ見回りに行って留守で、仕事の性質上、居所も帰る時期もわからない。
父がいるという土地に行こうと、一人で南東へ向かいます。

都から遠い田舎では、山賊のような匪族を虎というとか、役人に逆らって村を出た人間を虎と呼んだりすることもあると知ります。
出会う人に色々な話を聞きつつ、迷う少年。
14年前の安禄山の乱以来、国の中は不安定となり、村人は次々に徴兵されていました。
たどり着いた村で可愛い娘に出会い、彼女の危機を守りたいと思うのでしたが。
父親が書き残した漢詩の意味とは…
はたして、父親はどうなったのか?

息子による語り口は、李徴とは全然違って、そういう意味では別物。
あの雰囲気をいまひとたび追体験することは出来ません。
「山月記」とはポイントが変わってしまっています。

少年の冒険譚として、また漢詩を読み解くあたりは面白いです。
はっきり割り切れる終わり方ではないですが。
中島敦の作品も、もとは中国の古典「人虎伝」から来ている話だそうですね。
「人虎伝」の再話と思った方が良いかも。
2009年2月の作品。

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