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「ベルガード館の殺人」

ケイト・ロス「ベルガード館の殺人」講談社文庫

好感の持てる歴史ミステリ。
再読。
1820年のイギリス。
ナポレオンに勝利した後、大英帝国の栄光の時代に入っています。

とある名家で、思わぬ結婚話が持ち上がります。
フォントクレア家の跡継ぎに押しつけられた花嫁は、身分違い。
一家の秘密を守るために、父に頼まれて婚約します。
娘の父親クラドックは今は金持ちですが、成り上がりというだけでなく、かってはこの邸に馬番として勤めていた男。
娘モードは美人でもないのですが、気だては良さそうでした。

一方、ロンドンで当代一のおしゃれな伊達男として評判を取っているジュリアン・ケストレル。
婚約したというのに悪酔いしていた青年ヒュー・フォントクレアを助け、領主館であるベルガード館に招待されます。
当主ロバートは立派な人物で、妻セシリーは優しく美しい。
一人息子のヒューは、真面目で素直。
遠縁の娘で館に引き取られて育ったイザベルは美しく、ヒューと婚約の話もかっては出ていたらしい。
ロバートの妹レディ・タールトンは気が強くて怒りっぽく、夫を放り出して館に入り浸り。ジュリアンにも不審の目を向けます。
ロバートの弟ジェフリー大佐は、名誉ある軍人でしたが、今は美食家で優雅な暮らし。
ジェフリー大佐の息子ガイは、ハンサムだが女好きで借金まみれ。

クラドックの父娘を迎えて、館は一触即発の雰囲気。
気品のあるイザベルに、ジュリアンは感嘆しますが、素っ気なくされます。
いたたまれない思いをしているモードに同情したジュリアンは、何かと話しかけ、相談に乗ります。
親しげな二人を見たヒューは、ちょっと嫉妬することに?

ジュリアンの泊まっていた部屋で、見知らぬ若い女性の死体が発見されます。
武器室に入ったという従僕ディッパーが、逮捕されてしまう。
実は、ディッパーはロンドンで掏摸だったのです。
財布を盗まれたジュリアンが追いかけて乱闘になったあげく、意気投合し、一から従僕に仕込んだという信頼関係があるのですが。
掏摸の過去がばれれば、罪を押しつけるには格好の存在。

ジュリアンは従僕の命と自分の評判を守るため、捜査に積極的に介入します。
当主のロバート・フォントクレアがこの地方の治安判事なので、当面の捜査は当主自身が指揮を執ることも出来ました。
一家も、ロンドン警察の介入は望んでいなかった。
名家の内情がさらけ出されてしまうから…

まだ警察組織さえ出来たばかりで、あまり評判も良くないんですね。
村の巡査は、選挙で押しつけられた当番制だったとは。
科学捜査がほとんどない時代。
華やかな背景と、古典的な本格推理を楽しめる内容です。

著者はボストンの現役の法廷弁護士でした。
この作品は1993年のデビュー作。
登場人物が生き生きしていて、読みやすい。
魅力的な3作を遺して…
98年に41歳の若さでガンで逝去とは、惜しまれます。

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