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「丹生都姫比売」

梨木香歩「丹生都比売」原生林

草壁皇子(くさかべのおうじ)が主人公の和風ファンタジー。
淡々と夢見るように語られていきます。

父の大海人皇子(おおあまのおうじ)が、一家で吉野に逃れていた時期。
丹生都比売(におつひめ)の加護があると皆は信じて、安心していたのですが、実は顕現がないために大海人皇子は悩んでいました。
草壁は、大海人皇子と鵜野讃良皇女(うののさららのひめみこ)の一人息子だが、身体が弱い。
吉野には来ていない異母弟の大津皇子には、何かと負けていて、引け目を感じていました。

野心などない、吉野で僧になると、人が来ても言う大海人皇子。
だが、それで済むだろうか?
古人大兄王(ふるひとのおおえのおう)がやはり跡継ぎ争いの緊張が高まったときに吉野に逃れた後で、中大兄皇子(今の天智天皇)に3ヶ月後には結局殺された例もあります。
弟の大海人皇子はいぜんは天皇の跡継ぎと目されていましたが、天智天皇が実子の大友皇子に継がせたくなったのです。
卑母の出の大友皇子の即位には、反対する勢力もあります。
時期を待っているということは、誰もが察していました。

草壁は地元に住む少女に出会い、口がきけない不思議なその子にキサと名付けます。
キサは、青い勾玉をくれました。
キサのことは、草壁と弟の忍壁皇子にしか見えない事に気づいていきます。

鵜野讃良皇女(のちの持統天皇)の野心。
正当な血を誇る実母に圧倒され、畏れる草壁。
鵜野の姉・大伯(おおく)皇女がかって、草壁に語ったこと…
幻視なのか?草壁が見た女性の、したことは…

草壁の見るふしぎな光景の中に、ゆったり引き込まれてしまいそうです。
激動の時代、強く生きた人々の陰に埋もれたような、ひそやかな人の存在感。
渋い作品ですが、キラキラと輝くようなイメージも込められています。
このあたりの日本古代史に興味があれば、なお面白いのは間違いなし。
そうでなくとも、独特な文体やイメージの美しさは味わえるでしょう。

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