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「市民ヴィンス」

ジェス・ウォルター「市民ヴィンス」ハヤカワ・ミステリ文庫

1980年10月、ジミー・カーター大統領が選挙戦で負けそうになっていた時期。
揺れ動くアメリカ社会の片隅に、こんな男がいたという。

今はスポーケンという田舎町で、かたぎのドーナツ店の雇われ店長をしているヴィンス・キャムデン。
案外、この生活も、性に合うと思っていました。
生まれて初めて、大統領選挙にも興味を持ちます。
4年前には良くなると思われていたアメリカは、どうなるのか?

根っから小悪党で、今もクレジットカードの詐欺はやめられません。
36歳、身長6フィートと、見てくれは悪くないけれど、どこか信用出来ない風貌。ポーカーは強いのです。
子供の頃からまわりの子供が皆やるような小さな悪事から始めて、他の生き方を知らないままでした。
じつは証人保護法で、あらたな身元を得ています。
いつか追っ手が来るかも知れないと、内心は脅える日々。

マフィアに借金が出来たことから、生まれ育ったニューヨークを出る羽目になり、恋人を置いてきました。
弁護士のべニーは恋人の兄で、これもマフィアと付き合うのを何とも思わないような男でしたが、年の離れた妹の結婚相手には考えがあったのです。
そして、4年がたっていました。

馴染みのベスは娼婦ですが、子供が出来たと知った途端に麻薬を一切辞めたことで、廻りの尊敬を得ています。
詐欺の仲間が殺され、ヴィンスは警察に疑われることに。
マフィアの差し金かと思ったヴィンスは、決着をつけようと動きますが…?

ヴィンスが出会った州議会議員候補アーロンは、ヴィンスの案内で夜の街を体験します。世間知らずのアーロンは市民との交流に感激しますが、演説した相手らは選挙権を持っていないのでした。
ヴィンスの後を追った刑事デュプリーも又、ニューヨークで悪徳警官と組まされ、えらい目に合うことに。

マフィアにも人間的な面があり、ちっぽけな人間にもそれぞれのこだわりがあり、警官にも暴力的な面がある。
行く先々での物思いや、出会ったばかりの人との意外に深い会話など、普通小説に近い味わいがあります。
ねじれた問題は落ちつく所へ落ちつき、少しずつ再生へ向かう。
読後感は良かったですよ。
アメリカはレーガンが大統領になって、一見は期待させたがとんでもない時代に入るという皮肉をほのめかしつつ…?
2005年の作品。
2006年12月翻訳発行。
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞受賞。

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