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「太陽のパスタ、豆のスープ」

宮下奈都「太陽のパスタ、豆のスープ」集英社

結婚2ヶ月前にふられてしまった若い女性がしだいに立ち直り、成長する様子をナチュラルに描いた話。

あすわ(明日羽)は、ベビー服の会社の事務をしています。
結婚の二ヶ月前になって、婚約者の譲さんに「僕たち、合わないみたいだね」とふられてしまう。
いつ頃から別れを考えていたのかと、苦しむことに。

10歳年上の叔母ロッカ(六花)さんは変わり者で、ひょうひょうとしているが、何かと気に掛けてくれます。
ロッカさんの前でわんわん泣いてしまった後、何をやりたいかを全部書き出すドリフターズ・ノートを作るように勧められるのでした。
「食べたいものを好きなだけ、食べる、髪を切る、ひっこし、おみこし」などと最初は書きます。
お祭りが好きらしい。

髪をベリーショートにしたら、会社では誰も触れない。それほど痛々しいのかと思うあすわ。
引っ越しはすぐしようとロッカさんにリードされ、近くの1DKに越します。良く一緒に食事するようになるのでした。
ロッカさんの作った「太陽のパスタ」はトマトが入っていて、アイデアは良いけれど、伸びきったまずい物だったというのが、面白い。
ジュリーのコンサートに行ったロッカさんは「がんばれなくても、ええんちゃう」とジュリーの真似をしてくれる。

「鍋を買う、毎日使う」などとリストは増えていく。
ル・クルーゼの鍋を買うのです。料理の本に載っているものをすべて作ろうとしたのは挫折しますが。
「エステに行く」と書いて、リンパドレナージュ初体験。

会社で一番仲の良い女の子・郁ちゃん(渡邊郁未)とも、微妙な距離感がありました。
週に一度、金曜日には二人だけでランチに行くことにしていたのですが。
楚々として可愛らしい郁ちゃん。
叔母に誘われて出かけた青空市場で、郁ちゃんが豆の店を出しているのに驚きます。とても美味しい豆スープに感心するのでした。
郁ちゃんはどうやって豆を見つけたのだろう。自分にとっての豆はあるのだろうか。

学生時代からの大事な友達・京は美容師で忙しく、気軽には呼び出せない。
本名は京介なのですが、スカートをはいて生きている京です。
とても綺麗で何でも出来るのですが、家族とは上手くいっていない様子。

一人暮らしに慣れ、料理のレパートリーが増えていったり。
家に戻ったときに、有り難みを実感したり。
仕事に新鮮さを感じたり。
あらすじだけでは何ということもなくなってしまいますが、ちょっとしたユーモアをまじえていく具体的なエピソードのつなげ方がうまくて、細部のリアリティがよく出ているのね。
いじいじしたり、駄目さを再認識したり、内心はそう明るくはいられないけれども。
そうそう…生きていく感覚ってこうなんだよね…と納得。
応援したくなります。

初出2008年「青春と読書」
2010年1月単行本発行。
著者は1967年福井県生まれ。2004年デビュー。

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