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「天上紅蓮」

渡辺淳一「天上紅蓮」文藝春秋

白河法皇と養女・璋子(たまこ)の愛を描いた作品。
今の大河ドラマの最初の方に出てきた年の差カップルですよ。

白河の側室・祇園女御に子がなかったため、5歳で養女として引き取られました。
藤原北家の閑院流の公実の末娘。実母は、堀河天皇の乳母。

祇園女御(松田聖子の役)が元は人妻で、白河が略奪したのだったとは。やれやれ。
白河は、20歳で天皇になった人物。
天皇だった時代に中宮を亡くした後に荒れたそうですが、10年ほどは祇園女御で落ちついていたのでしたが…

可愛がられた少女が花開いていき、15の頃には相思相愛に。
法皇は、このとき63歳。
この作家でこのテーマならこうもあろうかという~予想&期待にはまあ違わないでしょう。
当時の人にしては、妙に現代的な知識や感覚も混じっているけど。

50代で死ぬ人が多かった時代。
治天の君として権力を誇った白河が、60過ぎて、燃え上がった恋。
自分の最愛の女性を国で最高の地位につけようと考え、しかも璋子の最初の子だけは自分の子を、と望む。
作家は肯定的に恋の情熱を描いていますが、この悪魔的な発想が世を乱す元となったのでは。…それが恋?!

孫に当たる鳥羽天皇は、いい迷惑…
といっても、自分を天皇にしてくれた祖父には逆らえず、年上で美貌の璋子への敬慕もあったらしい。

後に崇徳天皇となる皇子は、まあ白河の子なんだろうとは思ってましたが、ここまで作為的に行われたとは?
その意図までは証明されてはいないのでしょうが、里帰りの時期は記録が残っていて、確かに異常に頻繁で、そう解釈も出来るようです。
この頃妊娠したという研究まであるそう。畏れ入りました~。

妊娠の度に、璋子の安産を祈って大がかりな祈祷や寄進が行われ、貴族達も右往左往。
すべて白河の仕切りで、鳥羽天皇は知らん顔だったという。
璋子は待賢門院という院号を与えられ、財産も出来て、白河鳥羽と共に出かけることを三院行幸などと言われていました。
3人で熊野詣でに行ったり、揃って行事に顔を出すことは珍しくなく、少なくとも一見した所は和やかだったんですね。

璋子は7人も子を産んでいて、おそらく3人目からは鳥羽の子。
二の皇子、三の皇子の二人は病弱だったのが、一番の気がかりだっただろうという。
第四皇子が、後の後白河です。

白河法皇が亡くなると、鳥羽は別な皇后を立てたんですね。
大河ドラマでは端折られていましたが、藤原氏の身分の高い37歳の女性。
藤原家でも、璋子とは別の家系と手を組むという意味でしょう。
璋子が「自分は何とも思わないがこれは自分への嫌がらせだ」という意味の手紙を残しているとか。

鳥羽上皇が寵愛するようになった得子(なりこ)の隆盛に、璋子がうつ状態になったため、得子の家族の何人かの役を解いたり追放するなどの処分を、崇徳天皇がしたこともあったそうです。
上皇になっても鳥羽のほうが政治の権力を握っているとはいえ、いったん天皇大権で決定すれば、上皇といえどもすぐには覆せない。
得子の家族に、人も無げな振るまいがあったと察せられます。
崇徳は、母思いではあったのですね。

璋子が尼になることを決めた後も、そのために新たな寺を建てる財政に不自由はなく、晩年は崇徳や娘のいる邸に身を寄せていたとか。
穏やかな日々もあったのかな。

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コメント

璋子さまといえば、大河ドラマでほとんど前半のヒロインでしたね。
身分高い女性といえど、アレコレ苦労があるもんだなあ……
お姫さまが後ろ盾がなくなったとたん落魄してしまうのは、王朝時代のお約束というものでしょうね。璋子さまの場合は、子どもをたくさん産んでいるし、財産もあったから、まだマシだったのでは。
それよか、崇徳上皇がかわいそうじゃありませんか?
悪霊の親玉みたいに言われちゃって… 

marieさん、
璋子さま、ヒロインでしたね~。
なかなかいい配役で。

そりゃあ崇徳の方が可哀相です!
出生は本人のせいではないのに、父に疎まれ、実権を取り上げられ、譲位の時には騙され、あげくに流罪ですもの。
「背をはやみ」のうたが好きなので、才能ある人だったのになと思います。

璋子さまのほうは、養父が絶対権力者で、幼い頃からいわれるままだった。
とはいえ、子どもも何人も生めたし、いい思いもしているわけだし、まあ自業自得。
生んだ子のうちの二人が、保元の乱で相争うのを見ないで済んだのは、ましだったかも…?

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