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「ブルー・ヘヴン」

C.J.ボックス「ブルー・ヘヴン」ハヤカワ・ミステリ文庫

MWA(アメリカ推理小説作家協会またはアメリカ探偵作家クラブ)賞・最優秀長編賞受賞作。
田舎町で、思いがけない大事件が起きます。

ノース・アイダホの平和な町、クートネー・ベイ。
12歳の少女アニーと弟のウィリアムは、森で殺人現場を目撃してしまう。
しかも、男達に気づかれ、後を追われることに。

母のモニカ・テイラーは一人で子供達を育てている女性でした。
前々から口説かれていたトムを前夜家に入れ、翌朝子供達に見られて、気まずくなっていました。

一方、ジェス・ロウリンズは、ロウリンズ・ランチという牧場を経営している初老の男性。
妻には出て行かれ、一人息子には事情があり、牧場は経営が破綻して、監督を雇う金もなくなったところ。

銀行家のジム・ハーンは、学生時代にはロデオに出ていて、モニカの亡き父にロデオを習って行動を共にしていたため、モニカのことを気にかけています。
ジムは、頑固だが信頼できるジェスのこともよく知っていて、何とか伝統あるランチを守る手だてがないか考えようとしていました。

二人の子供は帰らず、行方不明事件として捜査が始まります。
アイダホ州には、ロサンジェルス警察を退職した警官が、何と200人以上も住んでいました。
都会と違って治安が良くて地価も安く、アウトドアスポーツを楽しめる環境を求めてのことです。
ロサンジェルス市警では、ノース・アイダホのことを「ブルー・ヘヴン」と呼んでいるというほど。

こういう事件には慣れていない保安官ケアリーに、数人の退職警官らがこういう事には詳しいからと援助を申し出て、ドリーム・チームが結成されます。
ところが、その警官こそが…

カリフォルニアの警察を退職したばかりの警官ヴィアトロが、折しも町を訪れます。
サンタ・アニータ競馬場の売上金が強奪された事件を追って…
既に8年もたち、犯人も収監されているのですが、強奪された金は見つからず、犯人も何も知らずに嵌められたように見えるのです。
担当した未解決事件に、いまだ執念を燃やしているのは、ヴィアトロ一人。

冷徹なリーダーのシンガー元警部補、大男で力の強いゴンザレス、適度に地元に溶け込もうとしているスワン、一家で腰を落ち着けているニューカーク。
悪巧みをする連中にも個性があります。

子供達は、ジェスの牧場の納屋に逃げ込んでいました。
ウィリアムは現れたジェスの手に怪我をさせ、賢いアニーはすぐにはジェスのことも信用しないけれど、落ちつくと溢れるように話し始めます。
警戒してはいてもまだまだ無邪気な子供達。

殺人を目撃したという話をにわかには信じられないまま、事情を探りに町へ出るジェス。
真相に近づくと共に、逆に子供らの誘拐犯という疑いを掛けられそうになります。
車で近づくと相手に気づかれるので、山道を馬に乗って一味の様子を探りに行ったり。
ヴィアトロと出会い、互いに信頼できるのではと感じます。
病気を抱えた息子との再会や、哀切な人間模様も。
孤高の牧場主が、暴力に慣れた悪党らといかに戦うか…?!

いい人と悪い人が、かなりはっきり分かれています。
でも、いい人にも弱点はある。
ハーンの妻など、女性達もそれぞれはっきり描き分けられていて魅力的。
誰がどこでどう動いて、それがまた…?はらはらドキドキ、スリル満点。
テンポの良い筆致で、内容の割には重すぎない読み心地。
面白かった!でも…泣かされます。
2007年の作品。2008年翻訳発行。映画化されるそう。

著者はワイオミング生まれ。様々な職業を経験した後、妻と国際観光マーケティング会社を経営。ロデオ関係の理事も。
2001年のデビュー作で、史上初の新人賞4冠(アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞、ガムシュー賞)達成。
この作品で、2009年のMWA賞最優秀長編賞受賞。
これまでに9作発表しているそうです。

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