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「狐笛のかなた」

上橋菜穂子「狐笛のかなた」新潮文庫

上橋さんの、シリーズではない、和風ファンタジーです。

森のはずれに、婆と二人で暮らす少女・小夜。
祖母はよその土地から来て、お産の手伝いが上手いため信頼されてはいましたが、村の中には住めなかったのです。
そのほうが、小夜にとっても良かったのでした。
聞き耳の才があり、人が考えていることが聞こえてしまうため、人が多い所は苦手だったからです。
ある日、小夜は追われている狐を助けて、ふところに抱えたまま犬に追われ、森の奥に入り込んで少年に出会います。
その狐は、実は霊狐だったのですが…

夜名ノ森(よなのもり)の奥の森陰屋敷に住む人は呪われている、という噂がありました。
小春丸は閉じこめられていた少年で、実は塀の破れ目からたまに抜け出していたのです。
再会した二人は短い楽しい時を過ごしますが。

成長した小夜がある日、賊に襲われたときに、見知らぬ男の子に助けられます。
それはかって助けた霊狐の野火でした。
呪人に使い魔にされて、人の姿で、敵の館に忍び込んでいたのです。

祖母を失った小夜の元に、思いがけない客が訪れ、迎えの馬を差し向けられます。
大郎(だいろう)とその妹・鈴、鈴の子・一太。
母の花乃や祖母をよく知るという一家に親切にされて、梅が枝屋敷で夢のような時を過ごしますが…
大郎は小春丸を匿っている管理人のような存在でもありました。
小夜の才を見抜きつつ、深刻な事態に巻き込みたくはないと、里に帰す大郎。

領主の有路ノ春望(ゆうじのはるもち)は、隣国の湯来(ゆき)の一族と敵対していました。
小春丸は実はその息子で、敵の呪者の目をくらますために、匿われていたのです。
だんだん事情を知った小夜は、小春丸を助けたいと願います。
だが閉じこめられた年月で、小春丸の心は悲しく歪んでいた…
呪者に逆らってまで、小夜を守りたいと願う野火は?

呪者どうしの戦いはある意味、わかりやすい。
逃げ場がなさそうな苦しみと、巻き込まれた者達の葛藤、立ち向かう勇気。
ファンタジックな世界で、どこかしっとりと切なく夢のように。

2003年11月、初版。

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