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「ばらばら死体の夜」

桜庭一樹「ばらばら死体の夜」集英社

犯罪小説というか、中間小説というか。
ネーミングは桜庭さんらしい非現実感ありますが、かなりリアルな筆致で、嫌~な感じで展開します。

古本屋「泪亭」の2階の部屋に間借りしていた若い女・白井沙漠。
目が大きくて、顔は悪くないのですが。
洗面所も一階にしかなく、はめ殺しの窓が三つある殺風景な部屋。
かってそこに間借りしていた苦学生で、今は教える側に立っている中年男・吉野解(さとる)との不幸な出会い。
行きずりのような関係がだらっと始まり、濃度が高まるのか醒めるのか判明しない様子は、ある意味~文学度高し?

どこか影があるものの、裕福な相手と結婚して一見したところは豊かそうに見えた男でしたが…
実際には、夫の解には自由に動かせる金はない立場。
そつのない美しい妻・由乃の父親は、大手ゼネコンの幹部で、むろん結婚を反対され、今でも嫌悪されています。
今は娘の夕と3人で、とりあえず穏やかな暮らしをしているのでしたが…

妻との共通の友人・里子は翻訳家で、40過ぎた今も独身のさばさばした女性。
里子の視線で、何かに気づくような気づかないような~というあたりが、風通しよくなっています。
不釣り合いな結婚のいきさつも、微妙な大人の味わい。
娘から見れば、仲の良い夫婦というのがまた。

豊かに見える日本に潜んでいた貧困。
ちょっとした出来事が重なれば、あっという間に転げ落ちてしまう。
この20年の日本の問題点をついているとも言えますね。
明るい広告に乗せられて、気軽に借金を作ってしまう方も、考え無しで、この女性の場合だらしないと言えば全くそうなのですが…
破綻している女性に共感は出来なくとも、突き放すこともし切れないような。

一方、古書店の店主・佐藤にもこだわりが。
売った本を包むために使うとはいえ異常なほどたくさん、積み上げてあった新聞紙の山。
その過去にあったことも、因縁めいて…
普通に見える人たちも危うさを抱えているが、互いにそれを知らない。
人間関係の中に起こる皮肉な出来事が、悲惨な事件を引き起こす。
その意外な結末は…?
2011年5月発行。

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