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「口は災い」

リース・ボウエン「口は災い」講談社文庫

20世紀初頭が舞台の歴史ミステリ。
アイルランドで生まれ育った小作人の娘モリー・マーフィーは、23歳。故郷から逃亡する羽目になります。
(イギリス人領主の息子に強姦されそうになって突き飛ばしたら、死んでしまったのです)
ロンドンにたどり着きましたが、仕事はない。
逃げ込んだ先で知り合った女性キャスリーン・オコナーの身代わりで、子供二人を連れてアメリカに渡ることとなります。キャスリーンは肺病で、船に乗る許可がおりないのでした。

三等船室は環境が悪かった様子が描かれます。
やっとアメリカに到着して、自由の女神を見た移民達の感動が鮮やか。
入国直前のエリス島で、たちのよくない男オマリーが殺されます。
モリーの嘘を見破っていたオマリーをひっぱたいたことのあるモリーにも、一時は疑いが。
親切にしてくれていた若者マイケルが、拘留されてしまいます。
マイケルがアイルランドに送り返されれば、ろくな裁判もなく死刑になってしまう…
真相を探ろうとするモリー。

共に旅行した子供達は、モリーに懐いていました。
モリーはキャスリーンの夫が暮らす従姉夫婦の家に転がり込みますが、従姉に冷たくされて、住み込みで働ける場所を探し歩くことに。
イタリア人、中国人、ユダヤ人など、それぞれの出身の人間が集まって暮らし、そこの仕事は他の国の人間には出来ないと知ります。
ニューヨークにアイルランド人は多いので、有利な方なのでしたが。
警察の保護施設で一夜を明かした後、エリス島での事件の目撃者を捜します。
やっと聖書教会の宿泊所に泊まることが出来ましたが…

モリーのさまようニューヨークが、刺激的で面白い。
何かと出くわす警部のダニエル・サリヴァンとは、次第に好感を持つように。
ニューヨークの事情を知らずに、危険地帯に踏み込んでしまうモリー。
自分も逃亡の身で、職もないまま、果敢に行動する元気さが良いですね。

作者はイギリス生まれ。
BBCでラジオ、テレビドラマの脚本家を経て、オーストラリアの放送局勤務。サンフランシスコへ。
2001年の今作で、2002年アガサ賞最優秀長篇賞受賞。

アガサ賞とは、アガサ・クリスティに敬意を表して、推理小説愛好家の会マリス・ドメスティックが主催するミステリの賞。
1989年に創設され、伝統的なミステリが対象で、大会出席者すべての投票によって選ばれる。
伝統的なミステリとは、過剰な暴力描写がなく、警察官が主役ではない方が中心で、主に地域社会で起きる事件を扱った物といったあたり。
いつも女性作家が受賞しているようです。
毎年春にワシントンで授賞式が行われているそうです。

日本にもアガサ・クリスティ賞ができたのかな?
それとは別物です。

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