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「ピエタ」

大島真寿美「ピエタ」ポプラ社

作曲家のアントニオ・ヴィヴァルディを題材に、海外を舞台にした小説。
主人公は、ヴェネツィアのピエタ慈善院で育った娘エミーリア。
捨て子だったのです。

ピエタには、塀の一部に捨て子を受け入れるための木製のスカフェータがあり、そこに育てられない事情のある赤ちゃんが置かれるのです。
数年間はそれぞれの乳母の元で育ち、その後ピエタに戻るという制度でした。
ピエタでは孤児達への音楽教育に熱心で、合奏合唱の部がありました。
ヴィヴァルディは、そこへ指導に来ていました。
「赤毛の司祭」というあだ名があるように、音楽一筋に生きることは父親に反対されて、司祭の資格を取っていたヴィヴァルディ。

ピエタで一緒に育ったアンナ・マリーアは、群を抜いて才能があり、エミーリアは仲良くしつつも、音楽に全力を注ぐ気にはなれなくなっていきます。
子供達の中で一番賢いと言われたエミーリアは、会計や事務能力を発揮していくのでした。
アンナ・マリーアは、長じて「合奏・合唱副長」という院長に次ぐ地位に昇ります。
ウィーンへ行ったヴィヴァルディの突然の死に衝撃を受けるヴェネツィアの人々。

孤児ではないのだが子供の頃ピエタに音楽を習いに来ていたヴェロニカという貴族の女性が、「昔見た楽譜を知らないか」とエミーリアに問い合わせてきます。
ヴェロニカはピエタの後援者であるドウォド家の娘で、恵まれた育ちだったのですが、未亡人となって実家の館に一人暮らしていました。
ヴィヴァルディの妹たちを訪ねたエミーリアは、「楽譜は何もない」と言われ驚きますが、「コルティジャーナのクラウディアが何か知っているかも知れない」と教えられます。
じつは、ヴィヴァルディの秘密の恋人だったのでした…

エミーリアは若い頃の記憶をたどり、つてを見つけて、運河からロドヴィーゴのあやつるゴンドラで、クラウディアの屋敷に向かいます。
高級娼婦との奇妙な巡り会い。
なかなか素人が会える存在ではありません。
ピエタで育った世間知らずのエミーリアが、そこまでたどり着けた理由には、秘密が…
若き日の恋の冒険がありました。

ヴィヴァルディの死後何年たってもアンナ・マリーアが彼の曲にこだわり続けるあまり、ピエタの音楽会の評判は次第に落ちていきますが…
思いがけないところで、楽譜の謎が?
絡み合う幾人かの運命の不思議さ。
ヴェネツィアの夜の光景と、運河を渡るゴンドラ、流れる歌声やリュートの響き、儚い恋、女達の絆、切なくよどむ滅びの気配、年月の果てに訪れるささやかな暖かみ。
心地良く世界に浸れます。

作者は1962年愛知県生まれ。92年新人賞受賞、著書多数。
何気ない日常を透明感ある筆致で描いてきました。
歴史上の人物に題材をとったのは初めての意欲作。

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コメント

はじめまして投稿させて頂く上原よう子と申します 『ピエタ』の本メチャクチャ有名ですね2012年で欲しい本を1位になったとか実は私、『ハルくんの音楽日記』のネットで『ピエタ』の本の事を興味しめしました
ヴィヴァルディの愛弟子のアンナ・マリーアは一流バイオリニストでとても有名ですよ☆(*^▽^*)☆♪♪彼がピエタを去った後には彼女が『合奏・合唱の娘達』の楽長を継いだンだとか(b^▽^)b☆d(^▽^d)アンナ・マリーアの才能が開花させて行く様子がメチャクチャすごいなぁって感じます♪d(⌒〇⌒)b♪

上原よう子さん、
はじめまして~コメントありがとうございます!
「ピエタ」いいですよね~。
欲しい本1位?! なるほど、そうだったんですか
ヴィヴァルディって孤児院での指導に力を注いでいたこと、この本を読むまで知りませんでした。
アンナ・マリーアがバイオリニストとして一流になっていくあたり、わくわくしますね。何年も指導者としても活躍したなんてね~院長に次ぐ地位ってすごいですよね

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