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「きことわ」

朝吹真理子「きことわ」新潮社

第144回芥川賞受賞作。
「苦役列車」と同時受賞で、好対照のようですね。
ブクログで、260評が上がっていました。1115人が登録。
芥川賞としては、多い方でしょう。
アマゾンでは82レビュー。評価が五段階全部にまんべんなく分かれているのが珍しい。

幼なじみの女二人が成長して、25年ぶりにまた出会う。
7歳離れた友達のふしぎな経験。
日常的な描写と、夏ならではの雰囲気、ほのかな官能、会わなくなったいきさつ、思いがけない小さな秘密。
ほどよく、品良く。

別荘に毎年夏にやってきていた一家。そこの娘・貴子。
別荘の管理人をしていた淑子の娘・永遠子。
永遠子は夏になると、住んでいた逗子からバスで20分かけて、葉山町の坂の上にある一軒家に通っていました。
そこには貴子の母親の春子と、叔父の和雄がいて、3人で避暑に来ていたのです。
永遠子は遊びに行っていただけでしたが、じつは貴子の子守役も期待されていたらしい。
「きこちゃん」「とわちゃん」と呼び合い、漢字でどう書くかも知らないままでした。

25年後、別荘の解体を前にして、再会することに。
心臓に病気のあった貴子の母があっけなく世を去ったために、別荘には来なくなったのです。
大事な人を亡くしたときには模様替えが一番と、家も引っ越していました。
別荘で一晩を明かした貴子は、春子の濃厚な気配を感じ、色々な姿を思い出します。

永遠子には、今は娘の百花もいます。
母親の年代になった二人ですが、幼い心もどこかに残っていたような。
記憶の曖昧さや、片方だけが知っていたこと、思いこんでいたことなど、いかにもありそうな。
一言を引用するのでは特徴を伝えられない~切れ目なく続く言葉の美しさ。
淡々と描かれる日常的なモチーフと、どことなくまとわりつく妖しい死の気配、湯気が立ちのぼるような効果。
味わってみて下さい。

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コメント

対照的な受賞者ということで、すっごく話題になりましたね~
めったに芥川賞受賞作は読まないわたしですが、あの朝吹先生の…ということで読みました。若い頃、サガンを読んでパリや上流社会やオトナの恋愛に憧れましたからね。

文章は思ったほどサガンみたくなくて(当たり前か~)、難解でもなくてとても読みやすかったです。書き慣れた文章で、新人ぽくない…
お話の展開よりも、いつまでもこの心地よい世界に浸っていたい~と思わされました。

marieさん、
対照的でしたよね~!
どっちかだけでは時代を表していない?とか…?

朝吹といえばサガン!て感じですよね~私もお世話になりました。
確かにサガンじゃない日本文学です。って当たり前でした~あはは。
ほんとに浸っていたくなるような~心地良い雰囲気ですね。
評価が分かれるのは、こういう雰囲気が生まれて初めての若い人とか、何かもっと違う物を求めてる人なんでしょうね。

芥川賞は評を読んで、大丈夫そうかな?と思えばチャレンジします。
直木賞のほうは候補作からほとんど読みます。
受賞作よりその少し前が良かったりもするのでねcoldsweats01

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