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「蛹令嬢の肖像」

ヘザー・テレル「蛹令嬢の肖像」集英社文庫

17世紀のフランドル絵画を巡る物語。
ヒロインは現代の弁護士で、ニューヨークの法律事務所に勤めるマーラ・コイン。
「蛹令嬢の肖像」という一枚の絵を所有するビーズリーズという名門オークション会社の依頼を担当することに。
いぜんにナチスに奪われた絵画だとして、これを取り戻そうという老婦人ヒルダ・バウムの訴えを退けようという裁判に臨むことになるのです。
感情的にはあまり後味がよくないのですが、この仕事は重要な出世の機会でもあるので、マーラとしても負けるわけにはいかない。

ビーズリーズの法務担当マイケル・ロークは、偶然にもかって大学で互いに意識し合った仲。
当時は、別な相手がいたので進展しませんでしたが。
仕事相手と恋愛してはいけないという社則を破って、密かにつきあい始める…

ビーズリーズの来歴責任者は、リリアンという高齢の女性。
マイケルと何やら示し合わせているようにも見えるのですが…
マーラは、正当な売買だったという書類を見つけてほっとし、しっかり主張を通します。

強引な父親に育てられて、認められようと生きてきたヒロイン。
仕事の上司も、似たタイプ。
うすうす気づきつつも、引かれた路線から外れることが出来ない状態に、読む方もイライラ。
いずれは転機が訪れるわけですが…さて、どんなふうに?

1943年にナチスが絵画を奪う過程と、この絵が描かれた17世紀当時の出来事も、平行して挿入されます。
ヨハネス・ミーレフェルトは、オランダ人の画家。
工房の弟子として頭角を現しかけていました。
ブレヒト家の令嬢アマーリアの肖像を描くことになり、二人だけで過ごすうちに愛が芽生えます。
成功と結婚を夢見るのですが…

タイトルがピンと来なかったけど…
原題はシンプルに蛹(THE CHRYSALIS)。
蛹は変身を意味し、キリストの暗喩ともなる。17世紀当時だと、宗教的信条を示す物でもあったそう。
そのへんは、欧米人ならある程度、通じるイメージなんでしょう。
作中の絵画は、表紙イラストよりもかなり華やかです。
白いドレスの輝かしい美女が愛を込めた表情で、こちらを向いているという。

作者は美術史を専攻する一方、弁護士としても活躍中だそう。
幼い息子の言葉が作品のヒントになったとか。
2007年発表の作品。

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