フォト

おすすめ本

« まあるくなって | トップページ | 「儚い羊たちの祝宴」 »

「説教師」

カミラ・レックバリ「説教師 エリカ&パトリック事件簿」集英社文庫

スウェーデンの人気女性作家によるミステリです。
シリーズ2作目の大ヒット作。
前作から1年半後、海辺の田舎町を揺るがす大事件が起きます。

1作目では、初々しいデートを始めたエリカとパトリックの二人。
2作目の本書では、すでに結婚した二人。エリカは妊娠中で、暑さもあって体調が良くないのでした。
そのため、パトリックが主に活躍する話になっていて、警察小説の趣が強くなっています。

パトリックは身重な妻に添うために休暇を取っていましたが、呼び戻されます。
この地の観光の目玉である「国王の洞窟」で若い女性の死体が発見され、しかもその下に、古い白骨死体が2体もあったのです。
パトリックは署長に調査を任され、若くやる気のあるマーティン・モリーンと組んで、調査に。

刑事の中には、退職を待ちこがれるユスタや、さぼり魔で荒っぽく不注意なアーンストといった使えない男らもいて、足を引っ張ります。
一番頼りになる女性アンニカは、休暇中。
さらに行方不明の娘が出て、時間との戦いに焦るパトリック。
20年前の失踪事件を洗い直すため、フルト家の調査に出向きます。

説教師として活躍した祖父エフライムから続く、フルト家の三代にわたる確執がたっぷり書き込まれて、迫力。
エフライムは、幼い次男ユハンネスを病人を治癒する奇跡を起こす能力があるとして連れ歩いていました。しかし、その力はある日、失われた‥
ユハンネスは美男でもてるけれども気まぐれで、まったく当てにならない青年となっていったのです。

まじめな長男のガブリエルは父と弟の間に入れず、豪壮な館と農場は継いだものの、長年コンプレックスを抱いていました。
ガブリエルの息子ヤーコブが、今は、宗教団体の指導者となっています。
ヤーコブの年の離れた妹リンダは17歳で、ユハンネスの息子ユーハンと付き合っていますが、早く町を離れたいのが本音。

フィエルバッカは夏を過ごすのに良い土地柄なので、突然、親しくもない親戚や昔の友達が訪ねてきて居座ったりして。
エリカの妹アンナも、訪問してきます。
暴力をふるう夫とは、離婚したアンナ。なんと名門の出の恋人が出来たのですが、アンナと幼い子供二人に必要な優しさが足りないのではと、不審の目で見るエリカ。
反発するアンナですが‥
この姉妹の関係と命運も、シリーズの読みどころになっていますね。

事件は暗いですが、読み応えがあります。
日常的なシーンや女性の抱える問題も含み、共感しやすい面も。
非常に難しい試練に立たされた人間の、救いを感じさせるシーンが光ります。

« まあるくなって | トップページ | 「儚い羊たちの祝宴」 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「説教師」:

« まあるくなって | トップページ | 「儚い羊たちの祝宴」 »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック