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「オリーヴ・キタリッジの生活」

エリザベス・トラウト「オリーヴ・キタリッジの生活」早川書房

メイン州の田舎町。
海沿いにあり、別荘に来る人もいる。
一見、地味で平和で、そこには濃い人間模様があるのでした。
大柄で変わり者のオリーヴ・キタリッッジは、数学教師。
強烈な存在感がありますね。
13の短編のどこかに登場し、しだいに老いていきながら、町の出来事にゆるく関わり、時に揺り動かしていく。

オリーヴは、何があっても自分が悪いとは思わない性格、と言われてしまいます。
確かにそういう面もあるのですが、じつは自信満々というのではないんですけどね。
夫ヘンリーは穏やかでいい人でしたが、いつしか心は離れがちに。
隣町にある薬局を経営する夫は、店員の若い女性に小さな救いを見いだすのでした。
オリーヴとヘンリーは、夫婦とも息子のクリストファーをとても愛しているのに、上手くいかないでいます。

足の医者になったそのクリストファーが結婚することに。
最初の妻スザンヌは小柄で身綺麗で、何もかもわかったような顔つきの女性。
オリーヴは、猛烈に反感を抱くのです。
ちょっととんでもないですけど~この正直さは笑えます。
息子夫婦は、束縛から逃れるように遠いカリフォルニアに引っ越してしまいますが、1年ほどで離婚に。

後に再婚した相手アニーはまた、正反対で‥?
オリーヴ以上に大柄で、性格はいいようだけれど、父親の違う幼い子供を二人連れ、今度はクリストファーの子を宿しています。ちょっと頭が弱そうなのでした。
クリストファーは最初の妻によっぽど懲りたのかという感じですが、家族を持って、少しだけは母親に対する態度が変わっていくようです。

夫のヘンリーが倒れ、病院へ通うオリーヴ。
ちょっとしたことを共にする相手がいないことに、しみじみと寂しくなるのでした。
別荘地に住む老人ジャック・ケニソンが、妻を亡くしたことを知えいます。
ウォーキングをする道でジャックが苦しんでいる所を助け、ほんの少しずつ接近していく。
不器用な老人同士のゆっくりしたつきあい。
それでも、ときめきはあるのだ‥

町で起きる事件も、なかなかすごいんです‥
ちょっとしたモチーフの面白さ。
率直で猛烈なオリーヴは、時には厳格な教師、時には頼りになる隣人、気さくな友達でもあります。
幾つかの別れに、胸に迫る哀歓。
年を取っていくことの悲哀と寂しさと、ささやかに訪れる静かな充実。
味わい深かったです。

作者は1956年、メイン州ポートランド生まれ。
2008年に発表した本作で翌年のピュリッツァー賞を受賞。
ニューヨーク在住。

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