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「モンティニーの狼男爵」

佐藤亜紀「モンティニーの狼男爵」光文社文庫

佐藤亜紀さんをご紹介したことがないのに、気がついて…デビュー当時から読んでたのに。まあ、冊数はそんなに読んではいませんけど~ね。
第3回(1991年)日本ファンタジーノベル大賞「バルタザールの遍歴」を読んだときには、そのイメージの広がりと描写の精緻さにおおっと思ったものでした。
翻訳物を読むような雰囲気が楽しいですよ。

この作品は、章タイトルもしゃれています。
Ⅰ モンティニーの男爵が奥方を迎えたこと
Ⅱ 男爵が奥方の裏切りを予感すること
Ⅲ <狐>が奥方の愛を得たこと
Ⅳ <狼>がモンティニーを追放されたこと
Ⅴ 大団円。または、良い人は幸せに、悪い人は不幸せに終わったこと。
という。
ビアズリーの挿画で見たいような雰囲気です。

貴族はつらいよ、みたいな~お話。
語り手はラウール・ド・モンティニー。
マイイという湯治場の近くにある村と、同じ名前の男爵なのです。
18世紀フランスの話で、革命前…なかなか、いい雰囲気で好みですね~。

放蕩者の父はパリへ出奔、田舎に残された母が内気な息子を守り育てていましたが、10歳の頃に母もなくなってしまいます。
ラウールは、一人で百科全書を読み上げたりして、成長していくのでした。
森の奥深くまで入って遊び、密猟者と友達つきあいをしたり。
狩猟だけは、かなり得意だったのです。

父の弟である叔父は神父ですが、オシャレで、かなり放蕩者。
1777年、至急の呼び出しでラウールがパリに行くと、縁談が整えられていました。
相手のドニーズは美人というほどではないのですが、15万リーブルの年金という大変な持参金がありました。
前の婚約が破談になったために、急遽ラウールに花婿役が回ってきたという成り行きでしたが。

すぐにドニーズをかなり好きになったラウールですが、ドニーズのほうは礼儀正しく優しいけれど、愛情というほどのものは見せない事に次第に気づかされます。
逆上したドニーズに「あなたの子供なんか欲しくない」とまで言われる始末…これには、ラウール自身も気づいていなかった、ある理由もあったのですが?

小綺麗別荘に住むブリザック夫人という中年の魅力的な女性に出会い、父や叔父とも関係があったのではと感じるラウール。
ブリザック夫人の愛人らしき美青年ギヨーム・ルナルダンに、ドニーズが恋してしまうのです…
理不尽な恋というものが突き動かす運命に~凝りまくった描写で、どこか不思議感覚がプラスされた展開。
章タイトルどおり、後味のいい結末です。

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