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「漂砂のうたう」

木内昇「漂砂のうたう」

直木賞受賞作ですね。
明治10年頃の根津遊郭が舞台。
侍を捨て、今は美仙楼という見世の妓夫台(ぎゆうだい)に立つ立番の仕事に就いている定九郎が主人公。
年は26ですが、この見世にはまだ半年ほど。
遣り手のおばさんには気に入られて取り入りながら、適当に仕事を流しています。
店先に男が立つ台は二つあり、客に声を掛けて見世に上がるように誘う役目。
隣の格上の台に立つのは妓夫太郎という役で、龍造という男がつとめています。

女達がひしめく街。
根津遊郭は小見世も合わせると百軒近い妓楼と、二十数軒の引手茶屋からなっていたんだそうです。
美仙楼は中程度の見世ですが、小野菊という花魁は、泥の中に咲く蓮の花のように、どこか凛としていました。
呉服屋の主人という良い馴染み客もいて、身請け話も出たのに、花魁は断ったという。その理由は真夫だという噂だけれど、それらしい男の存在は見かけない。

定九郎はもとは御家人の家柄。とはいえ、部屋住みの次男でした。
父が旧幕軍にも彰義隊にも加わらないと聞いて、悲憤した兄。
定九郎は出奔したまま、女の所を点々として家も持たず、世をすねた気分のままでしたが…
車引きの新入りが下手で仲間に罵られているのを見ると、それは何と兄…
連絡一つしなかったのをなじられても、何も言えない。

賭場を開いている山公という男は、実は長州の出。
見世のために上がりを受け取りに行く定九郎は、ある日突然、山公が消えたと聞いて驚きます。
薩摩の西郷の元へ行ったという噂でした…

何かとまとわりついてくるポン太という40男は、噺家の弟子。
少々薄気味悪いものを感じつつ、小野菊花魁に使いを頼まれて出向くことになります。
ポン太の師匠がやっている落語の牡丹灯籠を見る定九郎。
これがなかなか~いい味出してます。

遊郭の生活ぶりが、丁寧に描かれていきます。
まだ揺れ動く時代の中で、それぞれに何か屈託やこだわりを抱えた人々。
どろどろした環境にあって、潔さもあり、ささやかな矜恃もあり。
展開が見えそうで~すぐには見えないところがみそ?
少しだけ、いい空気も入ってくるような‥

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