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「雷桜」

宇江佐真理「雷桜」角川文庫

時代小説の恋愛物。
特異な設定が、時代物を読まない人にも入りやすいのでは。
映画化もされているのがよくわかる~魅力的な作品です。

江戸から三日ほどの所にある瀬田村は、桜の名所。
生まれて間もない庄屋の一人娘・遊が、雷雨の夜にさらわれます。
生きていると信じて、探し続ける家族。
どうやら山に一人で隠れ住む男が育てているらしい…
奥へ入ったら迷ってしまい、二度と戻れないと言われている山。
山を境に隣り合う藩の勢力争いが、誘拐の背景にありました。

十数年がたったある日。
山の中で迷った次男・瀬田助次郎は男のような娘に助けられ、妹ではないかと話しかけます。
ただ戻ってくればみんな喜ぶ、何も言わなくて良い、と。
翌年、娘は戻ってきました。
男のような身なりで、親が仕立てた振り袖も拒否する。真っ黒な顔は洗ったら綺麗になったのですが。
村人には、狼女などと呼ばれ…

助次郎は経験を積むために3年間村を離れて、剣術と勉学に勤めていた所を清水家の榎戸角之進に見いだされます。
1年の約束で、大名家に仕えることに。
そこは、御三卿の清水家。当主の斉道(なりみち)は、徳川将軍の大勢の子供の一人でした。
わがままで何かと狼藉を繰り返していましたが、幼くして跡取りとされたため、甘やかされた育ちというだけでなく、孤独でもあったのです。
気の病で、時には手が付けられなくなる有様。

斉道は、当主として父に認められたいという思いから離れた方が良いと、助次郎は見抜くのです。
静養のために村に滞在して、斉道は遊と出会います。
物怖じしない型破りな遊と親しくなるのでした。斉道は遊を側室にと望みますが、それはあまりに似合わない。
江戸と藩を行き来するたびに、また会おうと誓います。
しかし‥?

わかりやすいドラマチックな構成。
こんな事もあったかも知れないと思わせられる~自然な語り口。
凛とした遊の生き方。
悲恋のほうになるのでしょうが、十分、幸せかも…
美しい話です。

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