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「海のカテドラル」

イルデフォンソ・ファルコネス「海のカテドラル」武田ランダムハウスジャパン

スペイン版「大聖堂」といった趣き。
スペインはやはり情熱的で激しい…言葉にするとベタだけど~他にない迫力!

14世紀のカタルーニャが舞台。
バルナットは土地に縛られた農奴ですが、あたりで一番豊かな農夫でした。
農奴といっても~4代前は自由民。支配者が勝手な法律を作って農奴にしたのです。
バルナットがめでたく結婚する日に、強欲な領主が現れて、祝いの席は一変、初夜権を要求されて無惨なことになります。
豊かなバルナットは妬まれていたのでした。美しい花嫁フランセスカは以来、夫に口もきかない…
しかも領主の子の乳母として召し出されてしまいます。

城へ出向いたバルナットは自分の子が放置されていたのを見つけて連れ出し、バルセロナに逃亡。
妹の嫁ぎ先に身を潜め、バルセロナに1年と1日住めば市民権を貰えるという希望に賭けます。
幼い息子のアルナウは、当初は従姉達と一緒に可愛がられて育ちます。が、またしても悲運が…
バルナットの妹が亡くなり、夫のプッチが貴族と再婚。
プライドだけは高い貴族の新妻に、逃亡農奴だったバルナット親子は疎まれることになってしまいます。
もっと悲運な育ちをしている男の子ジュアンがアルナウと仲良くなり、ジュアンにもわが子同様に接するバルナットでしたが。
バルセロナで蜂起が起き…

海辺に市民のためのカテドラルが建築中というのが美しく、希望を感じさせます。
尊敬されている建築家が、大勢の市民が入れるようにと、広くするために高さはそれほど高くないカテドラルを設計したのです。
地中海の光を取り入れた大きな窓とステンドグラスが特徴。現存するカテドラルです。
石切場から「海の仲仕」と呼ばれる力持ちの男達が、無償で重い石を運んだのだそう。
アルナウは少年ながら、これに挑戦するのです。
一番小さな石を運ぶのにも一歩ずつよろけそうになって、背中が傷だらけになった少年。何年かするうちに、たくましく成長します。

スペインはまだ一つの国として統一されておらず、四つの王国の王の権力も安定していない。
ローマ教皇庁も絡んできたり、ユダヤ人差別の問題も大きい。
ややこしいですが、それも新鮮。
恋愛も豊富というか~全く違うパターンの男女関係がいくつも出てきます。
アルナウは初恋の娘アレディスへの結婚を申し込んでもかなわず、アレディスが老いた親方に嫁がされた後に、彼女から迫られて関係を結んでしまうのですが…
当時は不倫が発覚したら組合を辞めさせられて男性は職がなくなり、女性は生涯幽閉の可能性もあったという。
とんでもない法律がたくさんあったのです。

ペストはユダヤ人の謀略という説が出て、ヨーロッパ各地でユダヤ人が虐殺される事態に。
幼い子供が襲われているのを見過ごせずに助けたアルナウは、ユダヤ人に信頼されるようになります。
アルナウは両替商となり、片腕となった元イスラム教徒ギジェムの力で、成功します。
沖の仲仕の忘れ形見マールを養女として育てながら、平和な家庭を築きます。

カタルーニャ王ペラ三世に取り立てられたアルナウは、初夜権などの悪法をすべて撤廃。
それが憎まれてアルナウは、異端審問の場に引き出されることに。
幼なじみのジュアンは、異端審問官となっていた…
これまでの登場人物すべてが大きく絡み合い、危機につぐ危機の後、大団円に。

何とも強烈な時代のうねり。
圧政や疫病という抗いがたい苦難に遭いながら、知恵と愛情の限りを尽くし、自らの尊厳をかけて団結する人々。
次が知りたくて、読むのをやめられない!
ドラマチックでした!

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