フォト

おすすめ本

« ジェイドールとmomokoと | トップページ | ジェイドールとポーズ »

「運命の騎士」

ローズマリ・サトクリフ「運命の騎士」岩波少年文庫

サトクリフ初期の代表作の一つ。

中世イギリス、第一次十字軍の時代。
孤児のランダルは、アランデルの城の片隅で、犬飼いにかろうじて養って貰っています。
犬と同じような扱いを受けていました。
犬飼いが寝込んだときに、犬がいうことをきくのはランダルだけだったのですが。
亡くなった母はサクソン人、父はブリトン人でした。

城主ヒュー・ゴークの帰還を屋根の上から覗いていたのを見つかり、鞭打ちにされそうな所を、居合わせた楽人エルルアンの機転で助けられます。
エルルアンの計らいで、初めて連れて行かれた土地ディーンに、なぜか帰ってきたような気がしたランダル。
ディーンの荘園の領主である騎士エベラードに渡され、孫の従者になるよう、一緒に育つのです。

騎士の孫ベービスはランダルより一つ年上なだけで、他に友達もいない。
最初は警戒し合いますが、すぐに心通うかけがえのない存在になっていくのでした。
立場は違っても…

ベービスは母を早く亡くして、母代わりの女性アンクレットに育てられました。
アンクレットは浅黒く賢い女性で、ブリトン人よりも古い民の伝統を守り、村の人にとっては貴重な薬剤師のような存在。
キリスト教が広まるに従って、異端の魔女という疑いをもたれるようにもなります。

ノルマン人の征服王朝の時代なんですね。
領主エベラードもノルマン人ですが、30年来すっかり土地に馴染み、村人にも「同じイギリス人」と思われていました。
先の王がウィリアム征服王。
王には3人の息子があり、次男がお気に入りだったので、イングランドを次男ウィリアム(赤顔王)に、大陸の領地ノルマンディを長男に、そして三男ヘンリーにはわずかな金額しか与えなかった。
3人は機会あるごとに張り合い、王位を争うことになります。

ランダルやディーンの村人達も、何かと巻き込まれることに。
ランダルがお城でひそかに見聞きしたことも、事件に繋がっていくのでした。
ディーンの領地を守るために、単身、危険な相手に立ち向かったランダル。
それはまた、敵を作ってしまうことにもなったのですが。

命がけでかばい合う人々。
時代背景の中での少年の成長を描いて、胸が痛くなるような感動があります。
いつも傍にいる大きな犬たち。
あざやかな季節の移り変わり。
ハシバミの黄金色の若芽を先駆けに春に目覚める森。
男の子は騎士の小姓になり、従者になって勤め上げ、寝ずの祈りをして、騎士として叙任されるのを待つ。
状況をありあり伝えてくる着実な描写に、シンプルな荘重さがあります。

児童文学の名作ではありますが~十分、大人にも読める内容。
むしろ歴史的な部分など、小学生にはやや難しいかも。
この内容で漢字が少ないのがちょっと辛いけど。
のめり込んで読み上げました。
ずっといぜんに読んでいますが、新鮮でした!

« ジェイドールとmomokoと | トップページ | ジェイドールとポーズ »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「運命の騎士」:

« ジェイドールとmomokoと | トップページ | ジェイドールとポーズ »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック