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「Nのために」

湊かなえ「Nのために」東京創元社

「告白」を初めとして~ヒットを飛ばしている作家さん。
これはちょっと毛色が変わっています。

野バラ荘というボロアパートで出会った3人。
ごく普通の女子大生に見える杉下希美。
明るく努力家の安藤望。(同じ「のぞみ」という名ですが、こちらは男性)
小説家志望の西崎真人。
そして、故郷の島で、希美の同級生だった成瀬慎司。
とある高級マンションで、資産家の野口夫妻が刺される事件が起きます。
4人は、その現場近くにいたのですが…

西崎は法学部に籍を置いてはいますが、留年中。綺麗な顔なんですが、かなり人格は破綻していました。
昼間は暇にしていたために、大家の老人とは仲が良くなっています。
希美は高校時代に突然、父親が愛人を家に入れて妻子を追い出したために苦労したという過去を背負っていました。
それは村中が知っていたこと。
成瀬はそんな彼女を好きだったのですが、口に出しては言えませんでした。
じつは、奨学金を譲って貰った?という負い目を感じていたこともあります。

安藤も(別な所ですが)やはり小さな島で育ったというコンプレックスが共通しています。
それほどの苦労はしていないようですが、小さな島ではいつでも彼が成績は一番なのが当たり前で、成功を目指していました。希美よりは年上で、やがて就職は無事に内定します。
同じアパートのよしみで希美に将棋を教わったり、ビルの掃除のバイトを一緒にしたり、ダイビングの免許を取ったりと、互いに気楽な関係を築いていくのでした。
学生時代ならではの新体験で広がる世界。恋愛まで行きそうで行かない人間関係はちょっと楽しい。

事件が起きたときのそれぞれの陳述と、これまでのいきさつをいろいろな角度から描き、さらに十年後に繋がっていきます。
虐待や重い夫婦関係が根底にあるのがややしんどいけど。
先を知りたくてどんどん読ませられるリーダビリティはさすが。
小さな誤解や偶然がもたらしたもの。
互いに秘密があるのですが、行動の理由は自分のためだけではない、誰かを思ってのことだというのが救い。
でも後味は…そう、よくはない…だってねえ…
それもこの作家らしい!といえなくはない?

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