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「新選組 幕末の青嵐」

木内昇「新選組 幕末の青嵐」集英社文庫

「漂砂のうたう」で直木賞を受賞した作家さんの作品。
3月末に「茗荷谷の猫」をご紹介しています。

新選組への視線と共感が熱い。
江戸での出会いから、京都へ上るいきさつ、新選組としての活動。
つぎつぎに視点を変えて、時代の推移を追っていきます。

江戸では跡を継ぐ立場にない若者達が行き場を求めてあえぎ、どう転ぶかわからない時代の流れに乗ろうとしていました。
近藤勇は愚直で人がよく真面目で、養父を素直に尊敬していたのです。
頭がいいとは言えないけれど、幕府に一途に忠義を尽くす。武士になりたいと公言し、無理と笑われても言い続けていました。

土方歳三は鋭い目をして剣の才もあるのですが、ひねくれ者で何をやっても落ち着かない、居場所のない人間でした。
京都まで行って、水を得た魚のように、見事な采配をふるうようになります。
怖がられる存在として隊をまとめるために、周りとはうち解けない。

沖田は無邪気で何も考えていないようでいて、時には人を見抜くような鋭い視線を向けてくる。
三人は最初から無二の親友といったつきあいだったわけでもないという書き方ですが、どう事情が変わっても信頼を貫き、他から見れば際だった絆がありました。

まったく個性の違う隊士たちが、お互いに向ける視線も面白い。
鬱屈を抱えた破滅的な芹沢鴨。
平凡だと自分では思っているが、冷静で豪胆な永倉。
知的で穏和な人柄だが、どこか弱さがある山南。
兄のように試衛館道場の皆を見守る~穏やかな井上源三郎。
新選組乗っ取りを狙っていた~高慢で端正な伊東甲子太郎。
真面目で誇り高い若者・藤堂平助。
剣が第一で、寡黙で孤独がちな斎藤。

必死な人間もいれば、いい加減に立ち回ろうとする者も。
苛立ち、勇気、疑惑、嫉妬、決断、悲壮、信頼、慚愧、感嘆。
息詰まるような空気を表現して、臨場感があります。
精いっぱい生き抜いたさわやかさも。

北へ向かった土方の一人でも軍を動かせる有能ぶりと、鬼の副長だった肩の荷を下ろしたかのような優しさ。
そんな土方に信頼を伝える斎藤。
小姓の市村に、兄へ遺品を届けるようにと命じて、戦場から離れさせる土方。
思い出しても泣けてくるよう。
2003年に書かれた作品です。

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