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「消えた少年たち」

オースン・スコット・カード「消えた少年たち」早川書房

本の雑誌で推薦されていました。
確かに~常ならぬ力のこもった作品ですね。
引っ越してきた一家に、次々に難題が降りかかります。

父親のステップが転職し、フレッチャー一家はノースカロライナのストゥベンに越してきました。
ステップは、ハッカー・スナックというパズルゲームをヒットさせたことのある才能あるプログラマ。
これまでは、自宅での仕事と、歴史の博士号を取る研究という自由な立場でやって来たのです。
今度の会社ではマニュアルを書くだけが仕事と言い渡され、驚き苛立ちますが、当面は仕方がない。直属の上司はいやみな男でしたが、実はプログラムに関しては無能らしい?

妻のディアンヌは主婦で、心の温かい母親ですが、3人の子供を抱えて、さらに妊娠中、めまぐるしく過ごしています。
二男のロビーは、無邪気だけど、やんちゃな盛り。
まだ赤ちゃんのベッツィは、はいはいをする手がかかる盛り。

8歳の長男のスティーヴィは、大人しくて頭がいい。
学校で友達が出来ないらしく、引っ越したのが気に入らないのではと両親は気にはなっているのでしたが…
スティーヴィが裏庭で友達と遊んでいると言い出したのが、姿の見えない空想の友達なので、胸を痛めることに。

モルモン教徒の一家という特殊性もあり、今度の教会での役割や人間関係も大きな問題に。
ここにも嫌な女性がいて、ディアンヌはへこまされますが、親切な隣人にも恵まれます。そして…?

夫、妻、三人の子供…そして新しく生まれてきた赤ちゃん。
家族それぞれが直面する問題には、ありがちなことだけでなく~日常に潜む悪と狂気が見え隠れします。
家族同士が愛し合っていても起こる~葛藤や誤解もあり。
細かい描写の積み重ねには、作者の実生活を一部反映したリアリティがあります。

人はいかにして問題に立ち向かうべきか?
勇気を持って大きな問題にも取り組み、素晴らしい作品と言ってもいい。
かなり重い内容だけど、充実しています。
こんな風に解決していけるんだね!という部分と。
他にどうすれば良かったんだろうね…という部分と。
8歳のスティーヴィのけなげさには涙。
推理を楽しむ作品ではないですが、事件のモチーフにはミステリ的な要素もあるので、カテゴリーにミステリも入れました。

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コメント

あ~、なつかしい
涙が止まらない大どんでん返しが、蘇ります。
さとかさんが推薦してくださったのよね。
今読み返したら、また涙が止まらなくなるかな?
こういう発想できる作者って、普段どんな考えを持っている人なのでしょう?
お話ししてみたい気もします・・。

smashさん、
へえぇ~そうだったんですか!
さとかさん推薦で、読まれてたんですね
これすごく印象の強い作品ですよね。
作者がモルモン教徒ということもあるかもしれないけど~濃い経験をしてきたんでしょうね。
そのうえに、想像力も…!
涙出ますよね…思い出すと、切なくて…
…わ~ん

さとかさんの推薦だったんですか!?
知らなかった……
たしか「クリスマスに少女は還る」と似てるというので話題になってませんでしたか? それ、ネタバレになってますよね(笑)
衝撃のラストは切なくて泣けてきました。取り返しの付かないことって、ある…
このラストに至るまでの伏線がていねいに張りめぐらしてあるので、これはやっぱりミステリかな?

>marieさん、
話題になったのって、同じ頃なんですか?
え~っと…
日本での発行は「消えた少年たち」の単行本が1997年、文庫が2003年。「クリスマス~」が1999年ですね。
原著発表はいつかわかりませんが。
「クリスマス」もよかったですよね~。
少女の視点が多いけど、捜査している側も雰囲気があって。

ヒントが実はちりばめてあるという点では~ミステリかな。
ミステリの枠には収まらないところもあるかも?
めいっぱい書き込まれているけど、日常的な感情も多いので、どんどん読めますね。
そして持って行かれた衝撃が…!

この作家はほんとに懐かしいですねぇ。
いや、いまでも新刊の出る作家ではあるのですが、受賞などで騒がれたのはずいぶん前ですから。
オースン・スコット・カード(この作家は略称というか通り名というか、が思い浮かばない)といえば、「エンダー」のシリーズですから、スペオペ系の作家として頭の中で分類されてしまっているので、私はあんまり読んでいないんですよ(私はスペオペ嫌いの暗~いSF読みなの(笑))。昔短編を読んだかなぁ、というくらいで。ヒューゴー、ネビュラ同時受賞という、すごい作家なんですけど。
これは初期の「ソングマスター」と同系統なのかしら。
モルモン教徒とあるので、ちょっと調べたら、なんとこの人ブリガム・ヤングの子孫なのですね。うーむ、ますます読むのがためらわれる・・・(^^;)
でも、作品に罪はないしなぁ。

しあんさん、
エンダー?スペオペ?
ええ~っ、SF作家だったんですか!
……そういえば、どっかに書いてあったかしら…
うわ、アビスの原作者?
エンダーは読んでないと思うけど、ひょっとして何か昔、読んでるかも。
全然気づかなかった…

これは、読み応えのある~普通の小説ですよ。
おそらく実体験を半分以上ぶち込んであって、日常的な感覚に溢れてます。
次々に襲いかかる試練と戦う普通の家族の話。
展開はだんだん普通じゃなくなっていくけど。SFではないんです。
他の作品とはあまり関係ないんじゃないかな…
読めますよ!

しかし、ブリガム・ヤングの子孫とはまた。
へ~え…
海外の人って、生まれたときから一家で教会に通うのが当たり前の人もいるじゃないですか。
教会の役員をしたりするのが生活の一部になってる。
そういう感じなので、特に宗教色が強いって程でもないですよ。
モルモン教徒というと他の人からはカルトと思われて警戒される、みたいシーンもありますけどね

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