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「ストーリー・セラー」

有川浩「ストーリー・セラー」新潮社

2本の中編のうち、最初のは同じタイトルの企画物アンソロジーのために書いた物。
いつも応援してくれた夫のために、作品を書き続ける作家の妻。
という点では共通。
どちらも、なれそめから感じが良く、仲の良い夫婦が微笑ましい。

重い病気を得るのが、最初は作家である妻のほう。
夫の視点から語られます。
彼女は同じデザイン事務所の同僚で、地味だがよく働く、本を読んでいそうな言葉遣いをする女性でした。

会社のデスクの上にUSBメモリが忘れられていて、何だろうと中身を読んだら、とても面白い小説だったのです。
すっかり夢中になった彼は、戻ってきた彼女の抵抗を押して読み通してしまう。
ところが、彼女の拒否は思いの外、真剣なもので、学生時代にクラブで酷評されて以来、人に読ませたことはなかったという。
このときは怒らせてしまいますが、しだいに心を溶かす彼女に、投稿を薦める彼でした。

やがて人気作家となった妻。
それを評価しない家族など周りの人間には悩まされ、それがストレスになっていったのか。
雑誌で悪意のある特集を組まれ、激怒した他社の編集らと共にそれを書いた人間を突き止めます。妻は笑うことの出来ない状態になり、自分から通院することに。

さらに祖母が認知症で、それを頑固な父親が認めずに放置。行ってみたら~祖母の家はごみ屋敷になっていました。
仕方なく夫婦で乗り込み、祖母を病院へ入れ、家を片づけるのでした。
妻は、頭を使いすぎることで生きていく機能が損なわれるという奇病になっていたのです。
小説を書くことを止められるのですが…
それでは生きている意味もなくなると悩む夫婦。

2本目では、視点と設定が逆。
別なカップルですが、人間像は近いです。
同じ会社の渉外だった彼は、冷静で人との間にバリアがあると評判でした。事務職の妻が、小説を書いていると知ります。
目を赤くして屋上から降りてきた彼が、涙の理由をこの本だと説明する…それがなんと彼女の作品だったのです。
作家専業を勧めた彼は、食事まで作ってくれる理想的な恋人。
つきあい始めて3年、結婚に。

いつも作品の一番のファンだった夫。
夫が病気になり、そういう作品を書こうとしていた妻は、罰が当たったのかと苦しむのです。
どちらも、作家の妻から夫へのラブレターみたいな内容ですね。

後半の展開と後書きに…え?まさか?!
家族の闘病をカミングアウトしたともとれる内容ですが、この後書きがない本もあるらしい。
あまり騒ぎにはなって欲しくないということでしょうか。
もちろん、すべてが事実ということはあり得ず、小説は小説であるけれど…
…が、がんばってね…

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