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「しゃべれどもしゃべれども」

佐藤多佳子「しゃべれどもしゃべれども」新潮文庫

今昔亭三つ葉という若い落語家のもとへ、なぜか話し方を教えて欲しいという連中が集まってくる話。
一人称のお喋り口調で、ぽんぽんと軽快に進みます。

三つ葉の師匠は、今昔亭小三文。兄弟子と弟弟子が一人ずついるだけなのは、師匠がズボラで面倒くさがりだから。
三つ葉は18で入門して、今は二ツ目という割合気楽な立場。
古典が好きなので新作はやらず、日常も着物を着て過ごしています。
目立ちすぎるとかドンキホーテとか、言われつつ。

蕎麦屋だった祖父に可愛がられて育ち、今はお茶の先生をしている伝法な祖母と同居で、こき使われているのでした。
短気でけんかっぱやい性格で、女心に疎いのは自認していました。ややお人好しなのは自覚していなかったよう。
日舞の師匠の娘の郁子さんの柔らかな雰囲気に憧れていたのですが…

噺家としてはまだまだ硬さが取れず、なかなか上達はしない。人を教えている場合ではないのですが。
従弟の綾丸良は、長身で端正なテニスのコーチですが、気弱で、どもってしまう。
最近、特にテニススクールでトラブルがあってから、教えるのが難しいほどになっていました。

師匠の話し方教室で出会った黒猫のような女性は、十河五月。
劇団で主演した経験もあり、勝ち気で口は悪いのですが、肝心なことが言えないという。
村林優(まさる)は関西弁しか話せず、生意気なので、いじめられている小学生。
心配した母親に連れられてきましたが、本人はいじめられてはいない、ケンカしているだけという。
湯河原太一は、野球選手としては有能だったのですが、解説ではろくに話せない男。

押しかけの弟子達に、しょうがなく落語を教えてみる三つ葉。
年齢性別環境も全く違い、仲がいいのでもなかったのが、しだいに通い合うものが出てくるのです。
よどみなく展開し、笑えて、ちょっと切なく、さりげなく人情をくすぐる、あったかい話でした。

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