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「茗荷谷の猫」

木内昇「茗荷谷の猫」平凡社

2011年1月、第144回直木賞を受賞したばかりの作者。
2008年の作品。
幕末の江戸から、昭和半ばの東京までの時代、下町の雰囲気ある町で暮らす人々。
少しずつリンクしていく短編連作です。
巣鴨染井、品川、茗荷谷町、市谷仲之町、本郷菊坂、浅草、池之端と舞台を変えて。

「染井の桜」は、ソメイヨシノを作り出した職人の話。
徳造は元は侍で役人勤めでしたが、植木が好きで身分を捨てました。
妻は何も言わなかったのですが、実はよほど気に染まなかったらしく、人が変わってしまう。
潔く才能も根気もある男だったのですが‥

「黒焼道話」
職を転々としてきた春造。
黒焼きというものがあると知り、興味を抱き、黒焼き屋で働き出します。
独自に開発しようとこだわるあまり店を出て、品川の寒村の掘っ立て小屋で、一人で焼き続けることに‥

「茗荷谷の猫」
夫と二人暮らしの文枝。
絵に才能を発揮して、次第に売れるようになります。画商の緒方が引き取りに来ては少しずつ売ってくれるのです。
夫は変わらぬようでしたが、実は、そっくりな人物を思いがけない所で見かけたことがあるのです。何か秘密があるのかも知れない。
物置の下に猫が住み着き、その様子も気になりますが…

「隠れる」
根っからものぐさな耕吉は、女と別れるときには黙って引っ越すことにしていました。だがそれも度重なると、住む所に困る羽目に。
周囲からはのぞけない一軒家を見つけて借りることにします。かって女性画家が住んでいた所だという。
ぐうたら暮らそうとするのですが、なぜか隣人に何かとお節介されます。
思惑がどんどん狂っていく様子がおかしい。

「スペインスタイルの家」
東京オリンピックを目指して~工事が進んでいる時期。
尾道俊男は中学もでないうちに戦災で孤児となり、世間に放り出されたのです。
今は、工事に携わるために、渋谷に越してきました。
気に入っている家があって、通勤途中に回り道をして眺めていました。もしかしたら、自分もこんな家に住んでいたかもと。

登場人物はどこかで関わりがあり、その後が見えたりする趣向。
それぞれの人物が抱く~ちょっとしたこだわりが面白い。
長い年月の移り変わりをじわじわと感じさせて。
ホラー風味もあり、出しのきいた濃い味わい。

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