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「われはフランソワ」

山之口洋「われはフランソワ」新潮社

15世紀フランス。
放蕩詩人フランソワ・ヴィヨンの生涯を描いた物。

ジャンヌ・ダルクが処刑された年に生まれたフランソワ。
イギリスはフランスの統治権も主張し、フランス内でもアルマニャック派とブルゴーニュ派が長年争っていました。
養父は教会の司祭で、ギヨーム・ヴィヨン。
ある未婚の母が、子連れでは働けないからと預けて行ったのです。

フランソワは長じて近くのパリ大学に通いますが、酒に博奕と放蕩の限りを尽くす有様。
パリ大学の教職員と学生には、いくつも特権があったそうです。
免税の他、ノートルダム寺院の宗法廷でしか裁かれないので、パリの奉行所の警吏には睨まれていたのですが、おおかたは逃げおおせていたという。
陽気な詩を作って酔客を笑わせて人気を取り、酒代をただにして貰う毎日。

逆恨みで襲われたはずみに、刺し殺してしまったのが運の尽き。
追っ手を恐れて逃げるうちに、本格的な盗賊団コキャール党の仲間にされ、抜けられなくなります。
事件は、正当防衛として許されていたとも知らず…

流れていったブロアの街で、詩を愛するオルレアン公シャルルの宮廷に招かれて、呆れられつつも詩才を認められ、楽しい半年を過ごします。
シャルルの年の離れた美しい妻マリー・ド・クレーヴは、実はシャルルの父を殺した、かっての仇敵の孫娘。このへん複雑なのですねえ。

シャルルは、かってアルマニャック派の首領でしたが、アザンクールの敗戦で捕虜になり、十数年もイギリスに囚われの身だったために、無関心に救いを求め、生きる意欲を失っていました。
シャルルを笑わせてくれという~公妃の願いを受けて立つフランソワ。
このあたり、楽しいです。マリーの子が、後に巡り巡ってフランス王ルイ12世になったという。

フランソワはどうしても旅に出たくなる性分で、落ち着くことが出来ない。
その後、シャルルの有名な時祷書を盗めと、大金持ちのコレクターに脅迫され‥?
呆れるほどの破滅型ですが、憎めないところがある男。どこまでが史実なんでしょうねえ。
いきのいい詩が挟まれて、うまくまとまっています。

著者は1960年生まれ。
98年「オルガニスト」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。
これは歴史物で2001年の作品。

追記:2007年の「天平冥所図会」の作者だということに気づいてませんでした!
作家名カテゴリ~追加しましたよ。

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