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「アンナとロッテ」

テッサ・デ・ロー「アンナとロッテ」日本テレビ放送網

あまり知らない国の本を少し読もうかと。
オランダの小説が何かないかなと探して、読んでみました。

ベルギーのスパの温泉保養所で、偶然に再会した双子の姉妹。
幼い頃はケルンに住んでいたのですが両親を亡くして、別々な親戚に引き取られていました。
ロッテは、オランダの裕福な家庭へ。
何不自由ない暮らしで、義理の姉たちとも仲良く暮らします。
父の従兄弟が義理の父となったのですが、かなり癖があって利己主義なため、浮気による夫婦げんかや重い病気の看病など、意外に重い経験もしています。

アンナは、貧しい農夫の祖父の元へ。
働き手として苛酷な労働を強いられることに。
祖父が死に、伯父が結婚した相手マルタが怠け者でたちが悪かったために、さらに農奴のような暮らしになってしまいます。
見かねた神父が民生委員を派遣し、尼僧院で休養して15㎏太って、やっと人並みに。
神父の計らいで家政婦になる学校を出て、働き始めます。
実の父を知っていたという貴族フォン・ガウリッツの館で働くことが出来るようになり、とても頼りにされるのでした。
恋人のマルティンと戦争中に結婚しますが…

アンナとロッテは互いに手紙が来ないのを不審に思い、忘れられたと思うのが辛く、しまいに死んだものと思ってしまう。
ロッテの送った手紙は祖父や叔父が留めていたのです。これもずいぶん酷い話ですね。
若い頃に一度、アンナが生きていると知ってロッテが喜んで連絡をとり、やっと再会します。思いこんでいた年月が重くて、自然な態度が取れなかった二人。

ロッテにはユダヤ人の恋人が出来ますが、ナチスのユダヤ人狩りにあってあっけなく失ってしまいます。
当初は命に関わるとまで知られていなかったので、ユダヤ人はいるかと言われて前に出てしまったのです。
その後、ロッテは何人もユダヤ人を匿うという経験をしたため、ドイツ人嫌いになり、また自分がドイツ人という非難を受けたこともあり、どこか心を閉ざしています。

ロッテは子供にも孫にも恵まれたのですが、アンナと再会したときには戦後45年、夫の死後10年たっていました。
アンナに比べれば圧倒的に恵まれているために罪悪感もあり、複雑なのです。
何度もアンナの話を聞き、時に反発しつつも、次第に理解し始めるのですが…
第二次世界大戦を挟んで、オランダとドイツという国情の違う国で育った波乱の人生。重厚ですが、女性の視点なのでわかりやすいです。

著者は1946年オランダ生まれ。
ドイツ人を嫌う雰囲気の中で育ち、長じてフランスでドイツ人女性の話を聞く。ナチス支配下のドイツの一般人もまた被害者であったと思うようになり、その女性がアンナのモデルに。
ロッテにはいくらか母の面影があるらしい。
93年発表のベストセラー。
15カ国語に翻訳され、2002年映画化。

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