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「幻の声」

宇江佐真理「幻の声」文藝春秋

選考委員満場一致でオール読み物新人賞を受賞したという~絶賛のデビュー作。
満を持しての登場だったのでしょう。単行本は1997年の発行。

髪結いの伊三次は、親の死後に姉の嫁ぎ先で仕込まれましたが、きつく当たられて飛び出し、廻り髪結いとなります。
ご法度の忍び髪結いをしていたときに捕まったのですが、町方同心の不破友之進に救われます。
その出会いから、不破の手先も務めるようになっていました。
毎朝、不破が奉行所に行く前に組屋敷に上がり、ひげを当たり、髪を結い、ついでに用事を頼まれるようになったのです。

深川芸者の文吉ことお文とは、恋人同士。
金にもならない同心の手伝いには、やや批判的。
深川芸者は男名を名乗り、独特な意気地と張りがありました。
お文の場合は幸い、いぜんにいた旦那が借金を払って家を持たせてくれ、今は自前となっています。
伊三次は腕はいいのですが、自分が食べるのがやっとなので、お文に芸者をやめさせることも出来ません。
かといって、お文の家に身を寄せることは男の矜恃が許さない。頼りにはならない間夫として3年になっていました。
金を貯めて、床を持ちたいと思っているのですが‥

25歳といえば、江戸時代には立派な大人。
同い年の美女も大年増とは、なんだか気の毒だけれど。
色っぽくて、江戸言葉がしっくり。
眼前に現れるかのようです。
不破の妻・いなみも意外な過去を持ち、騙されて郭に売られたのを知り合いの不破に見いだされたという。さらに壮絶なエピソードが。

「幻の声」「暁の雲」「赤い闇」「備後表」「星の降る夜」5編収録。
庶民や芸者仲間、たまに覗き見るような侍の世界。
小さな謎や大きな罪。
江戸情緒と人情あふれる~珠玉の連作です。

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