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「SOSの猿」

伊坂幸太郎「SOSの猿」中央公論新社

困っている人を見ると気になってしょうがない青年・二郎が主人公。
そうそう解決できるわけもなく、情けない思いをするのでしたが…
生活感のある始まりだけど、実は…ジャンル的にはファンタジーになるんですかね?

二郎の仕事は電器屋勤めですが、イタリア留学中に友人に勧められて、エクソシスト(悪魔祓い)をする神父に何度か同行して助手を務めたことがありました。
半信半疑のまま、それらしい経験も積んでいるのです。
隣家に住んでいた「辺見のお姉さん」は一回り年上で、思春期の憧れだった女。
結婚して出て行った彼女が40代後半になった今、その息子が引きこもりになったと相談を受けます。

二郎の母と辺見のおばさんとは、しょっちゅう一緒にいる仲の良さ。
かって同級生で引きこもりだった山田を二郎が訪問したことなども知られていました。
なりゆきで、ふと「学校に行かなくても楽しそうならいいけど、楽しそうじゃないじゃん。もっと楽しそうな毎日を送りなよ」というようなことを言ったのです。
二郎君の考え方は柔軟だと、辺見のお姉さんに言われます。
引きこもりは専門ではないと言いつつ、ずるずると訪問することに。

少年・眞人の様子はおかしく、何かが憑いている可能性も否定できない状態。
半年前までは近くのコンビニなどへは出かけていたことがわかり、コンビニに行ってみる二郎。
趣味で合唱をする人々が外に集まっていて、筋骨たくましい店長もその一人というユニークなお店でした。
店員が車に轢かれた事件があったこともわかってきます。

いっぽう、町では他にも幾つかの事件が起こっていました。
誤発注で二十分で数百億円の損害を出した会社へ、システムに不備がなかったか調査へ赴く五十嵐真。
堅物の彼の目には、現れる人物が、なぜか時々妖怪のように変容して見える‥?

謎の視点からも事件の様相が描かれ、孫悟空の分身が現代で飛び散っているかと…?
事件は実際にあったような酷い虐待などで、周りの人間がうすうす気づきながらまさかと思ったり、どう手出しも出来ずにいるうちにチャンスを失ったりというあたりがリアル。

事情を調べる間に知り合った個性的な面々と、二郎が行動を起こす所が面白い。それも、ちょっと調子はずれなテンポで。
精神分析なども組み合わせて、予想外の展開に。
なかなか読後感は良かったです。

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