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「天才たちの値段」

門井嘉喜「天才たちの値段ー美術探偵・神永美有」文春文庫

タイトルどおり、美術品の真贋と値段を巡っての短編連作。
鑑定家と助教授の協力関係が、なかなか楽しい。

芸術史の助教授・佐々木は、本物を見ると舌に甘みを感じるという天才鑑定家の青年・神永美有に出会います。
これがなかなかの美青年!
ボッティチェッリの知られざる絵画「秋」を見て欲しいという画商の依頼で訪れた館には、初代館主の子爵が大正時代に東ヨーロッパで買い付けたという絵が壁にはめ込まれていました。
確かに名品だったのですが、さすがに佐々木はボッティチェッリとは断定しかねて…?
ところが神永は、本物と断じて、買い取ろうとしているらしい。
青年の全財産を投じての価格も、本物のボッティチェッリにしては、半端な値段だったりするのがまた妙といぶかる佐々木。
はたして、その理由とは?

画学生の実家にある蔵から出てきた古地図は、値打ちがあるものか?
仏ねはん図の不自然なポーズの意味は?
蒐集家だった佐々木の祖母が、遺言に残した謎は?

佐々木が畏敬の念を抱いていた美術書専門の古書店主が、神永の父親と知り、羨ましく思うのでした。
とはいえ、佐々木も祖母が蒐集家という家系なんですね。
祖母は祖父の遺産をアール・ヌーヴォーのガラス器などにつぎ込んでいました。
二人の娘のうち謎を解いたほうに、見る目があって末永く大事にしてくれそうだからという意味で、全財産を譲る、どちらも正解したら折半、と遺言したのです。
佐々木の母は入院中で、いきりたつ伯母と対決するのに、佐々木は神永の力も借りることに。

有名な絵画や美しい物が出てきて、楽しい。
詳しい事情は、ひたすら感心して読むしかないんですけど…
才能を認め、信頼を増していく佐々木と神永の関係。
登場人物たちそれぞれの過去への思いや、張り合いつつ謎解きに夢中になる気分、心配りゆえの嘘が優しくて。
やがて訪れる変化の時。
気分良く読み進められました。

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