フォト

おすすめ本

« 「まちがいだらけのハネムーン」 | トップページ | リカちゃんのかわいい海賊 »

「ほかならぬ人へ」

白石一文「ほかならぬ人へ」祥伝社

直木賞受賞作。
2編収録。

表題作は、財閥の家系で皆優秀な一家の一員だが自分は平凡な男性・宇津木明生が主人公。
生まれ損ないとさえ感じていました。
キャバクラでバイトしていた若い美女なずなと順調に交際し、家族の反対を押し切って結婚。
なずなの一家から見れば、平凡な自分も立派な大会社勤務のエリートのうちなのも、心地良かったのです。

ところが、彼女には忘れられない元彼・真一がいました。
浮気しない人と結婚したいと明生に会ったときに言ったのも、過去に真一に裏切られた経験があったからこそだったのです。
真一が離婚したと聞き、しばらく時間を欲しいと言い出して別居。
だんだんわかってくる泥沼の関係…

一方、主人公の方は、上司のさっぱりした女性・東海に信頼を覚えます。
何気ない付き合いが心地良く、しだいに深まっていく縁。
東海さんは感じがよくて、自然に馴染んでいく関係はなかなか、いいなあと思わせます。
一方、明生の恵まれた家族の中にも、どうしようもない思いがあったのでした…
この、どうしようもなさが共通したポイント?

2本目は「かけがえのない人へ」
育ちのいい20代の女性みはるの視点から描かれます。
結婚が決まっているのですが、お似合いと思われる婚約者とは、ごくあっさりした関係。
かって不倫の関係にあった相手・黒木と、結婚2ヶ月前になって、再燃しています。
強引な男となぜ会っているのか、自分でもはっきりしない。
黒木が美人の妻と今は離婚していたと後で知りますが、会社の方でも大きな変動が起き、彼は会社を辞めて姿を消す‥

カップルの片方がやたらと育ちがよく、そこがちょっとファンタジー?
それゆえに惹かれ合ったのかも知れないが、それゆえに抱く違和感やすれ違いもあり。
かなりわがままなんだけれども、自分でもどうしようもなく、みっともなくもがく人々の思い。
熱愛なのに自覚していない、みたいなね。
突然否応なくやってくる、あっけない別れ。掛け違う切なさ。
じわじわと募る愛惜の思い。
似たようなモチーフをわざと使っての変奏曲が響き合って、余韻を残します。

« 「まちがいだらけのハネムーン」 | トップページ | リカちゃんのかわいい海賊 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ほかならぬ人へ」:

« 「まちがいだらけのハネムーン」 | トップページ | リカちゃんのかわいい海賊 »

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー

無料ブログはココログ

最近のトラックバック