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「東洲しゃらくさし」

松井今朝子「東洲しゃらくさし」PHP文庫

松井今朝子の、これがデビュー作。
歌舞伎界を描くのは、独壇場ですね~。
今に伝わる名門の名前が当時からそのままというのに、感慨が。

上方で名をうって、江戸に乗り込んでくる狂言作者(脚本家)並木五兵衛。
上方と江戸(東洲)の違いが、五兵衛の視点から、描かれます。
若い頃に五兵衛が親しくしていたことがあった女形の富三、が今では瀬川菊之丞を継いで、大きな存在になっていました。
しきたりの違いから、五兵衛は当初は大失敗しますが、辛抱が足りないと菊之丞に諭されます。
しだいに、こつを覚えて成功の道を歩むのでした。

田沼の時代が終わり、贅沢は禁止され、政道を批判などしたら手鎖の刑を受けたりという~厳しい時代。
生き残りを賭けた、絵師や版元の工夫や努力。
芝居をかけるには大金がかかる。歌舞伎役者が座元をつとめるような江戸のやり方では、大借金を背負って、芝居小屋がつぶれてしまう。
それでも、何としても芝居をやりたいという人が必ずいるので、その熱意で続いてきたというのは、作者の実感でしょう。

詳しいことがわかっていない写楽。
実像はこんなだった…?
正式な絵の修行をした形跡はなく、突然現れたそのわけは…
芝居の背景を書く絵師の彦三の才能に五兵衛が目をつけ、江戸での仕事に強力を頼んだのがきっかけで、上京したという設定になっています。
新しい才能を求めていた蔦屋重三郎に、役者絵を依頼され、大首絵のユニークさで評判を呼ぶことに。

無口で無骨な彦三でしたが、深川になじみの女も出来ます。
公式に認められた吉原と、張り合うほどに栄えた深川の岡場所。
たまに手入れがあると、女達は吉原の最下層にやられるという残酷さ。
この頃、彦三を引き回していた二八という男が、最後の方で、十返舎一九となったり、売れるのが遅咲きだった狂言作者がこののち鶴屋南北になったり。
曲亭馬琴や葛飾北斎の名も見えます。なんとゴージャスな時代!
いかにも江戸時代!の濃厚さで、描かれます。

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