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「死者の短剣 惑わし」

ロイス・マクマスター・ビジョルド「死者の短剣 惑わし」創元推理文庫

地の民の娘フォーンと、まったく異質な~湖の民の中年の警邏隊員ダグとの運命的な恋を描くファンタジーです。

わけあって家出をして、大きな町へと向かう街道を一人歩くヒロイン。
フォーンは地の民の娘で、自称20歳ですが、小柄でほとんど子供に見えます。
地の民はあまり広い世界を知らず、実はまだ18歳のフォーンはまったく世間を知らないまま出てきてしまったのでした。

ところが、人間を食らう悪鬼が近辺におり、大きく育ちかけているために非常に危険な事態になっていたのです。
警邏隊は悪鬼を探して乗り込んできていましたが、警邏隊員のダグは悪鬼の手下に少女が拉致されるのを目撃、単身で追うことに。
湖の民は長身で長命、ある感応力で悪鬼を探すのに長け、心を開けば互いに感知し合う一種の超能力者。
力を尽くせば、治癒能力もあるのです。

若い頃にあった無惨な襲撃事件で妻子を失い、危険な任務に進んで臨んでいた孤独なダグ。
危機を救われたフォーンは、ダグを信頼し、いざというときには勇気も発揮します。
年の離れたダグもまた、フォーンの活力と素直さに心を癒されていくのでした。
まったく違う民と育ちの二人が出会ったとき、世界が変わる…?

いきいきした描写でありありと描かれ、引き込まれます。
設定はかなり変わっていて、さすがビジョルド。
とはいえ未来社会が中世的な村社会になっているという点や、ゾンビのような生き物、動物を変化させた使い魔のような存在など、とっつきにくくはありません。
4部作の第一部という事で、1巻の前半は冒険もの、後半はほとんどロマンスものというか、ファンタジーにしては恋愛描写が詳しい。同時にヒロインの生育環境とそこから大人になって巣立っていく過程が描かれています。

農村の家庭がけっこうひどいんですが、問題はそれなりに解決を見ます。
フォーンが家族の誰にも黙って家を出たのを理解しかねていたダグでしたが、乱暴な兄たちにいじめられて育ったというので無理もないとわかってきます。
両親には愛情がないわけではないのですが、すぐ泣く末っ子が子供に見えて、何が起きているかわかっていなかったのでした。
織物が得意な盲目の伯母が一番の理解者で、今度も味方になってくれるのです。
家父長制の地の民は、湖の民から見るとやや女性蔑視的?
母系社会らしい湖の民にはまた違うタブーがあるので、2巻はそちらが出てくるのかな。

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