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「天地明察」

冲方 丁「天地明察」角川グループパブリッシング

本屋大賞受賞作です。
戦国時代が終わり、江戸城には振り袖火事で焼失した天守閣も再建されなくなった時代。
囲碁を専門とする家系の青年・渋川春海が主人公。

囲碁は侍の教養として必須で、上様の御前での試合も多かったそうです。
とはいえ、やはり半端な立場で、普通は帯刀も許されない。
御前試合は定石通りに打ってみせるだけで、真剣勝負というのでもないのです。
春海より年下で才能あるライバル?本因坊道策もじれていました。

春海は、安井算哲という父の名を継いだものの、年の離れた義兄が実際には立派に名をなしていました。
どこかはみ出しかけて、公式の席以外では自分でつけた渋川春海という名も名乗り、様々な趣味に打ち込みつつ、生きあぐねていたのです。
春海は欲というか闘争心?がない穏やかな性格ですが、内心では悩み、好きなことには夢中になって、地べたに座って計算し出すという~親しみやすい人柄。

当時、算術は趣味としても好まれ、絵馬に問題を書いて掛けておくという風習もあったんだそうです。
次々に即解してのけた驚くべき才能の主・関を発見した春海は喜び、その人を探しますが…?

春海は老中の酒井に呼び出されて、人物を吟味されることに。
その陰には会津藩主・保科正之が…
保科は三代将軍・家光の異母弟で、心から信頼された重鎮でした。
四代将軍の時代になっても、陰ながら重要な事業に関わっていたのです。
もともと安井家は会津藩に縁が深いのですが、春海が呼び出されて受けた命は意外にも…?
囲碁のつとめを離れて、測量に加わるというもの。

春海の芸(特技)は、囲碁、神道、朱子学、算術、測地、歴術と書類に残っているのだそうです。そのすべてを生かし切る大仕事!
尊敬できる先輩にも恵まれます。
全国を歩いて、歩幅で距離を計算するというのも~スゴイですね。
緯度を測る機械を持ち運んで、組み立てるというのも‥
[追記:緯度経度って書いちゃったんですが~ご指摘によると、この時代では緯度だけかも。
ちょっと検索したら~中国の経度について触れている記事もあるのですが、さらに間違いではないかという指摘も見られて、よくわかりませんが…すいません]

ユーモアもあり、葛藤もあり、何を命じられるかわからない立場の辛さもあり、見いだされる喜びあり、大失敗の身のすくむような経験もあり。
当時の暦は、唐の物を参考に清和天皇の時代に作られた宣明歴。
八百年の年月のうちに2日もずれてきた暦を変えるため、全国で計測して回り、元になる暦も深く探求することになるのです。
45歳で大事業をついに成し遂げるまで。
算術塾で出会った元気な娘・おえんとのはかない別れ、再会などもいきいきと描かれていて、楽しく読めます。
傑作!

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コメント

>緯度経度を測る機械を持ち運んで、
という一文に「えぇぇっ!」とびっくりしました。
緯度はわかるんだけど、経度?
四代将軍って言ったら元禄までだから17世紀半ばですよね。イギリスでは当時、経度が正確に把握できず、緯度はわかっていても経度がわからないために、大洋を横断する船が反対側の陸やら島に座礁するという事故がよく起きてたんですよ。これが解決されて正確に経度が測れるようになったのは18世紀半ばなんですが…日本で17世紀に経度を測れる機械があった??それってとてつもなく凄いことかも。鎖国してたから海外の人は知らなかったのかしらん。

英国の経度事情は「ジョン・ハリソン wiki」で検索してみてください。
ついでに下の「ジョン・ダワー wiki」も検索してみたんですけど、「敗北を抱きしめて」の「抱きしめて」の原文はembraceなんですね。だったら「敗北を受け入れて」と訳すこともできたんじゃないのかなぁ…とも思ったり。

由比さん、
え~?!
‥どっから出てきたんだろ‥確かな知識も深い考えなく書いてるので、こりゃあ、私が間違えてるのだと思います!
どうしよう‥

「敗北を受け入れて」もありえたんですね!
そのほうが普通だけど、個性的でないかしら。
従容として‥って弱い感じになるかも。

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