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「敗北を抱きしめて」

ジョン・ダワー「敗北を抱きしめて」岩波書店

ピューリッツァー賞受賞作。
アメリカ人がアメリカ人に対して、日本が敗戦したときの実態と占領政策の推移を主に描いたもの。
これだけ詳しく、わかりやすい、臨場感に溢れた内容を、外国人に書かれちゃうとは。
奥さんは日本人だそうですが。

アメリカの占領政策は宣教師的な熱意を持った植民地主義であったことなど、まさしくその通りだと思いますが~印象的な指摘のしかた。
このタイトルはどうなんですか?という気がしないでもなかったけど。
ドイツとの比較なども、今改めて言われると新鮮。
占領軍といっても人数には限界があり日本語を話せる人も少ないので、既にある官僚組織を使わないわけにはいかなかったという事実。
日本通を総動員したのかと思ったらそうでもなく、その理由は軍部が強かった日本に詳しくてももう役に立たないかららしい。

天皇の責任についてはやや疑問視しているよう。天皇の名の下にあれだけのことが行われたのに?ということでしょうか。
マッカーサーは天皇を生かすために進歩的な憲法を推進した、どちらをとるかだったというのは意外な力学でした。
天皇は実際に政務を行ってはいないという認識は、古来から日本人にはそれほど意外ではないんだけど。

敗戦の時に日本人は虚脱状態になってしまった。
ありえないと思っていたショックもあるけれど、実は空爆と飢餓で虚脱状態は既に始まっていたと…。
アメリカ人に日本の戦中戦後の悲惨さを率直に伝えているので、原爆を落とすまでもなかったことが暗にわかるような。
最高司令長官のマッカーサーはなぜかとても人気があって、プレゼントやファンレターが何万も届いたとは、知りませんでした。
権力者へのへつらいもなくはなく、陳情や請願も含む内容なのだそうですが、戦争から解放してくれたという正直な?感情もあったらしい。

軍部の圧政から離れ、平和と民主主義に喜んで馴染んでいく日本人の様子は、アメリカ人にとって心地良い驚きなのかな?
内容の濃い良心的な作品。
終戦後の混乱期の日本を描いて、光の当て方に独自性があります。
しんどい内容なので、読み込むのは大変。
他の人はどう書いていることなのだろうかと思うが、とても調べきれない…
占領期に官僚が強化された体制が、今日に至る問題に続いているという指摘には、考えさせられます。

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