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「石が流す血」

フランセス・ファイフィールド「石が流す血」ランダムハウス講談社文庫

まいったなあ!
と思いながら、読みました。
CWA最優秀長篇賞を受賞しただけのことはありますよ。
イギリス女流でも実力派のファイフィールド。翻訳は久しぶり?
最後の頃に訳されていたのが暗い作品なんで、わかるような気もするけど…

女性の辣腕弁護士マリアン・シアラーが、ロンドンの高級ホテルから両手を広げて投身自殺。美しいドレスを着て…
裁判には勝ったのに、なぜ?
遺書も持ち物も、なかなか行方がわからない。

検死審問のために、調べだした若い弁護士ピーター・フリエル。
じつはマリアンの友人だった遺言執行者に死後に手紙が来て、フリエルが担当するようにと指定されていたのでした。
下っ端でうろうろしていただけの自分になぜ?といぶかるピーター。
個性の強い登場人物の中で、このピーターは一番平凡だけど、いいヤツです。

裁判の被告リック・ボイドは異常性格で、次々につきあう女性を精神的に支配し暴力もふるっていました。
マリアンは、依頼者が無実かどうかは気にかけない方針の弁護士。
証言者をいたぶって揺らがせ、嘘をついているように陪審員に思わせたのです。
証言者は恐れをなして出てこなくなり、中でもこの被害者エンジェル・ジョイスは自殺してしまうという結果になり、結審。
エンジェルを救い出し、ボイドを訴えた姉ヘンリエッタは納得できない思いですが…

このヘンリエッタが服の修復を仕事にしていて、美しい古着に埋まったアトリエに住んでいるのが面白い。
いきさつを調べていくピーターは、マリアンの意外な人間像を知ります。
海外ミステリを読み慣れている人には、ぜひお勧め。
でないと、濃すぎるかも…
嫌な人物が多くて、かなり辛辣な筆致だけど、実に鮮やかな描き分け。
思いがけないイントロ、ひどい事件、異常性格者、運命の皮肉、惹かれ合う若いピーターとヘンリエッタ、終盤の危機と乱闘、意外にエンタメ要素も加えて。
救いもあります。

作者は事務弁護士で、公訴局でおもに殺人事件の訴追を担当。
経験を生かして、1988年に「愛されない女」でデビュー。
2作目でCWAランポール賞、「目覚めない女」でCWAシルヴァー・ダガー賞を得ています。
別名義を含めて20冊以上の著作があり、ミステリの新女王と評されているそうです。
ミネット・ウォルターズより少しデビューが早いようですね。

読んだのはけっこう前なのに、いろいろ大変なことがあってご紹介できないでおりました。
なんとかかんとか…アップできました~coldsweats01

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コメント

読みました。
ネタバレになるから書けませんが、含みを持たせた終わり方でしたね。ヘンとエンジェル、本当はどうなんでしょう。
マリアンあんな理由で死ぬかあ。いや、普通の人は死んじゃうかもしれませんけど『彼女』の理由にするならあれだけじゃ弱いように思います。
真相に加えて「わかっていたのにそうせずにはいられなかった。そういう性(さが)だから」となってたら納得いくんだけどなあ。(ネタバレしないように書いたんでわかりにくくてすみません)
とはいえ、面白かったです。服飾に比重を置いたミステリって珍しいですよね。服だけでなく部屋や陶器など美しいものが沢山出てくるので、映画にしたら楽しめそうですね。
ヘンリエッタのタフなこと! 何でもつきとめずにはいられないピーターが真相を知ったらどうなっちゃうんでしょう。魂が抜けたようになっている母親が娘のことを何も知らないように見えて実は誰よりもよくわかっていたということも印象に残りました。

おクチ様、
わ~い、読まれました!?happy01
そうなんですよ~面白いでしょう。
美しい衣装やセンスのいい部屋などもねえ。
ビンテージのドレスもポイント高かったです。こんなに服のことが出てくる本ていうのも珍しいですよね。

マリアンは思いがけなくてショックが大きかったんでしょうね。
確かに死にそうにない人なんで、その意外性も謎を深めてるのかも?
さがっていうと、弁護士の本能みたいな…その場合、自殺はしないかなあ。ボイドを殺そうとするとか…いやそれもどうか?

ヘンリエッタ、つまりあの結末は…そうなんでしょうね。ある意味救いになるのかしら…でも誤解と知るのもどうなんだろう(すいません、読んでない人にはわかりませんね)
ヘンリエッタはすんごくタフでしたね!
だから惹かれたんでしょうけど~ピーターがいつ何をどう知るか、タイミングにもよるかも知れませんね??

特に最後の方にまた含蓄があるのですが、ネタばれになるため、あまり書けなくて…
そうそう、母親の理解というのも深みのあるところでした。
もともと平凡な上にショックで魂が抜けたようになっている両親が、底力を発揮するんですよね!

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