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「パパはマイナス50点」

小山明子「パパはマイナス50点 介護うつを越えて 夫大島渚を支えた十年」集英社

タイトル通り、介護体験記です。
介護の本で、自分がうつだったときの心境を語っている本って、意外に少ないかも。
ありありと書かれていて、わかりやすく読めました。

夫・大島渚、が突然倒れて闘病生活に。
最初は映画制作を公表したばかりの時期ということもあり、騒ぎになることを恐れて、妻なのに駆けつけることが出来ず、公然と出入りできない寂しさ。
身体に気をつけてあげることが出来なかった、今も役に立たないと自分を責めて、うつ状態になり、死まで考える状態に。
家族が心配して入院、それも閉鎖病棟だったそうです。
退院後も自分は病気ではないと感じていて、薬も飲まないでいたとか。

しだいに事実を受け入れ、友達も出来て、対応できるようになっていきますが‥
夫が話を聞いてくれる人で、何より大事な存在だったため、近所に友達が少ないのも孤独になった原因だったとは。
悪意のあるチラシが、郵便受けに投げ込まれるという、有名人の辛さ。
「夫が大変なときに妻がしっかりしないとはもってのほか」という批判もされてしまう。
昔はそういう教育だったんでしょう。

ちょっとした介助にも、いつも「ありがとう」と口に出してくれる夫だったとは、いいですねえ。
収入のない若い監督の夫を支え、映画作りの費用まで稼ぎ出していた妻ですからね。
妻はいつも、女性として何よりも欲しい「評価」と「信頼」をしてくれた、と夫が書いていたとは。後から読んで、遅れて届いたラブレターのように感じたそうです。
妻の方も、支えて育てて貰った気持ちが強い、というのは何よりですね。

三度目の入院で、もう歩けるようにはならないだろうと言われた大島がさすがに荒れる。
しかし1年後には、20歩、自分で歩けるようになったとは。
荒れているときも、ユーモアで「昨日のパパは百点満点だったけど今日はマイナス五十点よ」などと言って笑わせ、怒りを静めるとか。

自分の健康のために水泳教室に週に一度は通うようにしましたが、出かけるときには長年勤めてくれた家政婦さんに「夫をほうっておくなんて」と言われるそうです。が…もう気にしない。
夫に見える通路に季節の花を生けて、車椅子で家族旅行にも行き、おじいちゃんは凄いのよと孫にも教え、身体が不自由になったことは夫の尊厳を損なう物ではないと考える。
後半の明るさは、ビックリするぐらい。

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